今日9月30日は世界翻訳の日。2017年に国連総会で、「国同士を結び合わせ、平和と理解、発展を育(はぐく)むうえで専門の翻訳者が果たす役割」を認め、公式に「世界翻訳の日」が認定されました。
中世から20世紀の第2バチカン公会議に至るまでカトリック唯一の公認標準ラテン語訳聖書であり続けた「ウルガータ」の翻訳者といわれるヒエロニムス(347年頃~420年)の亡くなった日にちなみます。ヒエロニムスは4大ラテン教父の一人(ほかにアンブロジウス、アウグスティヌス、グレゴリウス1世)。
エロニムスは、聖書の原語であるギリシア語とヘブライ語に堪能で、382年、教皇ダマスス1世の命によってラテン語訳聖書の校訂にあたることになり、まず新約の校訂版を完成させ、続いて386年、旧約の校訂にとりかかり、405年に完成しました。
ちなみに、「モーセは、山から下ったとき、自分が神と語っている間に、自分の顔の肌が光を放っているのを知らなかった」(出エジプト34:29)という箇所があります。「光を放つ」(ヘブライ語で「カーラン」という動詞)というのを「ウルガータ」では「角」(ヘブライ語で「ケレン」という名詞。ここから「カーラン」が派生)と翻訳したことから、ミケランジェロの彫刻「モーセ像」やレンブラントの「十戒を持つモーセ」では角が2本生えているのです。