【あっちゃん牧師のおいしい話】第13回 豆談義(その1) 齋藤篤

あなたは自ら、小麦、大麦、豆、レンズ豆、もろこし、デュラム小麦を取って一つの器に入れ、パンを焼きなさい。自分の脇を下にして横たわっている日の数、すなわち三百九十日間、それを食べなければならない。
旧約聖書 エゼキエル書4章9節(聖書協会共同訳)

「あっちゃん、お元気ですか?」

そのような書き出しで書かれた一通のはがきの送り主は、かつて僕が住んでいたドイツ・ケルンの街で映写技師として働いているNICO(ニコ)さんでした。日本語を話したいケルン在住の人たちのお話相手となるボランティア同士として知り合ったNICOさん。その小柄な姿からは想像できないほどアクティブで、そしてキュートなお姉さんのような存在でした。久しぶりのお便りに、昔の楽しかった思い出が走馬灯のようによみがえったのは、言うまでもありません。

NICOさんが働いている映画館は、ケルンのツルピッヒャー通りというところにあるのですが、この通りは昼も夜も賑やかな、いわゆる繁華街です。ありとあらゆるレストランや酒場がひしめきあっていました。そのお店のなかでも、僕がよく通ったのが、映画館の数軒先にあるHabibi(ハビビ)という名前のお店でした。

アラブ料理のお店であるこのレストランの名物は「ファラフェル」という、つぶしたひよこ豆をつぶして揚げたコロッケと、「フムス」という、これまたひよこ豆をペースト状にした料理でした。盛りだくさんの野菜と一緒にいただくのですが、豆の使い方が本当に上手いなあといつも感心しながら、ここの料理を食べていました。ビールの国・ドイツでありながらも、イスラムの料理ですからソフトドリンクでいただきます。Ayran(アイラン)という、塩味の飲むヨーグルトを口にしながら、豆料理を堪能したものでした。NICOさんからの手紙で、食い物の話を思い出すあたりが僕らしいと、まあ我ながら呆れるというかなんというか。(ハビビのウェブサイトは http://www.habibi-koeln.de/ 。ドイツ語ですが、よろしければのぞいてみてください)

アラブ料理がそんな感じですから、聖書の舞台であるイスラエルもさぞかし豆文化が盛んなのだろうと思っていた僕。しかし、聖書を開いてみると、意外に豆に関する記述が少ないことに気付かされます。イスラエル人は、そんなに豆を食べなかったのでしょうか。聖書で人々はどんな豆を食べてきたかについては、次回の「豆談義その2」でご紹介したいと思いますが、今回どうして豆のことを書こうと思ったかというと、前回のコラムで書いた「肉断ち」のことに触れたかったからです。

今年の受難節(レント)は、ぜひ「肉断ち」をしてみようと宣言した直後、編集者でありクリプレのコラムニストであるMAROさんから「焼き鳥屋一緒に行こうか?」とか「まだ肉断ちしてる?」などという、ありがたーいお誘いやらご質問を賜っているわけでございますが(笑)、レントを迎えて10日ほど、肉断ち率80%ぐらいのペースで、僕にしては好調な滑り出しをみせているわけです。

えっ?80%なの?と思われる方もおられたかもしれません。そうです。ソフトな肉断ちがいいよと勧めてくれたのは、前回のコラムでも登場したMSさん。神は平和を求める方だから、肉断ちして人間関係が壊れるのも良くないからね、と指南してくれました。MSさん、実に平和主義者なのです。そのMSさんから、肉で摂れないタンパク質は、豆で補うといいよと教えてくれました。ということで、僕も豆食を開始したというわけです。

大豆は畑のお肉なんてよく言われたりもしますが、ちょうど台所の食糧庫には乾燥大豆がたくさんありましたので、今流行りの「蒸し大豆」なるものをこしらえることにしました。作り方は極めて簡単。水でひと晩もどした大豆をざるに入れて、それを蒸し器のなかにざるごと入れて1時間ほど蒸すだけ。水煮より栄養価が失われないんだそうです。少しでも栄養を逃してたまるかという貪欲精神は、こういうところに表れてしまいます。ということで、蒸し大豆、ここに完成!
食物繊維が豊富な蒸し大豆をひと口。うーん!豆の甘味がたまらん。ということでもうひと口、またひと口。調子に乗って器にたくさんの豆をよそって食べたまでは至福のひとときだったのですが、大変だったのは次の日のこと。脇腹に鈍痛が走ります。鈍痛だけど結構痛いんです。明らかに内臓系の痛みに、僕もひやひやしてしまい、教会の祈りグループにLINEで「おなかが痛いのでお祈りしてください」と書く始末。肉断ちなんて慣れないことをしたから、腹痛が起きたんじゃないかと考えながら、一日を過ごしました。

明くる朝、起きたら見事に腹痛は治まっていました。みんなの祈りのおかげだと、気を良くしていましたら、ハッとあることに気付かされました。もしかして食物繊維の摂りすぎたのかなと、ネットで「大豆 食べすぎ 腹痛」と検索したら案の定。「食べすぎには気を付けましょう。お腹が張ります」の一文。教会のお姉さまがたに、「先生はもっと程度を考えてくださいよ!」とたしなめられたのでございました。

過ぎたるは及ばざるがごとし。あっちゃん牧師の肉断ち&豆食生活。次回も引き続きこのテーマでいきたいと思います。今日はこれまで。皆さんごきげんよう!



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