自宅で過ごす時間が多いゴールデンウイークとなりましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。
今日はおうち時間や、デスクワークのお供にもぴったりのお菓子、“ポルボロン(Polvorón)”をご紹介します。
ポルボロンは中世時代にスペイン・アンダルシアの修道院で生まれたと伝えられるお菓子です。
実は、ヨーロッパには、ポルボロンのほかにも、フランス菓子のカヌレやフィナンシェなど、修道院発祥と言われている焼き菓子がたくさん存在します。
中世のヨーロッパでは修道院や教会は強い勢力を持っており、領主として土地を支配し、農民たちに小麦をはじめとする穀物やはちみつ、卵、バター、チーズなどの食材を納めさせていました。これらを使って生まれたお菓子の一つが、ポルボロンです。当時、甘いお菓子は贅沢品。オーブン(焼き窯)もとても高価なもので、修道院や教会、王侯貴族などしか所持していなかったようです。
さて、話をポルボロンに戻しましょう。
ポルボ(Polvo)はスペイン語で塵(ちり)を表す言葉で、口の中でホロホロッと塵のようにくずれてなくなることからその名が付けられました。ポルボロンが口の中で消えてしまう前に「ポルボロン、ポルボロン、ポルボロン」と3回唱えると幸せが訪れるのだとか。結婚式など“ハレの日”には欠かせないお菓子でもあります。
材料はアーモンドパウダー、薄力粉、ラード、砂糖だけ。
作り方もいたって簡単です。フライパンで薄力粉をロースト(乾煎り)して冷まし、アーモンドパウダー、砂糖、ラード(無塩バターでも代用可)と混ぜ合わせて生地を作ります。1時間ほど冷蔵庫で休ませた生地を型抜きするか、丸く成形してオーブンなどで焼き、仕上げに粉糖をふれば完成です。
独特のホロホロッとくずれるような食感は、アーモンドパウダーと、薄力粉をローストすることで生まれるもの。レシピによって材料のバランスはさまざまですが、薄力粉100g:アーモンドパウダー50g:ラード(バター)70g:砂糖:40gくらいのものが多いよう。甘さ控えめに作ると、アーモンドの香ばしさが際立ちます。
シンプルかつ素朴なこのお菓子は、大航海時代にスペイン植民地をはじめ世界中に広まりました。
ポルボロンという言葉に聞き覚えがなくても、フランス語の「ブール・ド・ネージュ(Boule de Neige)」や英語の「スノーボール(Snowball)」の名前で知っている方も多いかもしれませんね。ちなみに、どちらも“雪の玉”という意味。確かに、雪の玉のホロホロッと崩れる感触は、ポルボロンの食感にそっくりです。
まだしばらく、外出しづらい期間が続きそうです。お子さんでもかんたんに作ることができるお菓子なので、ぜひご家庭でおやつ作りを楽しんでください。