牧師が自殺をした。
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それは思わず見返してしまうような文言だ。私たちは、牧師が自ら命を絶つような事態を想像していない。牧師たちは人々の生活を助け、新しい人生について話す人々だ。自らの命を終わらせるような人々ではない。しかし悲劇は起こった。ジャリッド・ウィルソン※は、他の著名な牧師たちと同じように自殺で亡くなったのだ。
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We don’t expect pastors to take their own lives. They help people with their lives.
They talk about new life. They don’t end their own.
And yet another tragedy happened. Yet another well-known pastor—Jarrid Wilson—died by suicide.

ジャリッド・ウィルソン(自身のツイッターから)
※ジャリッド・ウィルソンは米国の牧師、カウンセラー。米カリフォルニア州のメガチャーチ「ハーベスト・クリスチャン・フェローシップ」で副牧師を務めるかたわら、希死念慮を持つうつ病の人を支援する働き「希望の賛歌」を妻とともに設立した。二人の男児の父親。9月9日に30歳で自殺した。著書に『30の言葉──私たちの残りのための祈り』、『不思議な探究──全能の神との日ごとの出会い』、『愛は酸素──神はどのように命を与え、あなたの世界を変えるか』などがある。
すべての自殺は衝撃的なものだが、著名な牧師(またはキリスト教界の有名人)が自分の命を絶つとき、そこにはある種の疑問が浮かぶ。
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それはもともと考えるべきことなのかもしれない。私たちはそのことを通して、「牧師とは何者であり、何を行う人なのか」という現実的な問いに直面させられる。このことが世界自殺予防デー(9月10日)というタイミングで起こったことで悲劇性が高められている部分もあるだろう。
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世界自殺予防デー
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今朝目を覚ましたとき、私は自殺に関する記事を書くつもりはなかった。私はこの重要な日について考えを巡らせてはいたものの、それはツイッターにあとで投稿するだけに留めるつもりでいた。
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ところが、友人であるジャリッドについての記事を目にしてしまった。彼は牧師であり、メンタルヘルスについての識者でもあった。このことを受けて私は、この記事が牧師や教会指導者への励ましになることを願いつつ、いくつかの思いを共有したいと思う。
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個人が世界自殺予防デーに意識を高める一つの方法(写真:Gourami Watcher)
まず初めに書いておきたいのは、今日多くの人が自殺について多くの有益なことを書いていること、その言葉は注目して読むに値するものだということだ。それらのいくつかはキリスト教の指導者によるものであり、私はよくリック・ウォーレン(毎週2万2000人が礼拝に出席する南部バプテスト連盟・サドルバック教会の主任牧師)とケイ・ウォーレン夫妻がシェアしていることに目を通すようにしている(彼らのコメントはこちら)。
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私も以前、教会と自殺についての記事を「クリスチャニティー・トゥデイ」に書いたことがある。そして、キリスト教コミュニティー以外でも無数の情報が提供されている。
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But there are countless resources out there written from outside the Christian community as well.
残念なことだが、福音派コミュニティーには、自分たちのコミュニティーの外に助けを求めることをためらうという現実がある。しかし正直に言ってこれは、メンタルヘルスの問題が深刻化している私たちの助けになりうる重要な情報だ。特に私たちはみな、自殺予防ホットラインの番号を知っているべきだろう。それが必要となる時が来るかもしれないのだから。
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これは、牧師を含む私たち全員にとって非常に現実的な問題であることを認識する必要がある。結局のところ、牧師も人の子なのだ。そして牧師には、うつ病やその他の問題が余計に重荷となる特殊な理由がある。そのいくつかを紹介しよう。
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宣教の裏側
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一つめの理由は、舞台裏で何が起こっているか、教会の多くの人が知っていないということだ。現実には、牧師は心理的・感情的・精神的な苦しみを負っている。彼ら彼女らの中には、うつ病などの病気と戦う現実を抱えている人もおり、それはイエスの弟子や牧師になることで消え去るわけではない。チャールズ・スポルジョンは、うつ病の激しい発作に苦しんでいたことが知られている。またホイートン大学のフィリップ・ライケン学長は、自らのうつとの闘病について詳(つまび)らかに話したこともある(動画参照)。
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しかし現実には、舞台裏を見ることは難しい。私はほとんどの日曜日、人々の前に立って、「私の素晴らしい人生」について話すことができている。だが一方で、「素晴らしい人生」からほど遠い月曜日や金曜日だってあるのだ。それは他の多くの人もそうだろう。
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牧師が真の関係性を築き、必要な助けを得るにあたって、時には教会の構造自体が妨げの壁となることだってある。(後編に続く)
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「クリスチャニティー・トゥデイ」(Christianity Today)は、1956年に伝道者ビリー・グラハムと編集長カール・ヘンリーにより創刊された、クリスチャンのための定期刊行物。96年、ウェブサイトが開設されて記事掲載が始められた。雑誌は今、500万以上のクリスチャン指導者に毎月届けられ、オンラインの購読者は1000万に上る。