今日11月6日は本田美奈子が亡くなった日です。
1985年にアイドルとしてデビューし、90年代、ミュージカル女優として活躍。2003年に初のクラシック・アルバム「AVE MARIA」をリリースして活躍の場を広げますが、その2年後、急性骨髄性白血病により38歳で亡くなりました。
彼女の歌う「アメイジング・グレイス」は、亡くなる直前にリリースされたことも重なり、多くの人の記憶に深く刻まれることになりました。この賛美歌を作詞したジョン・ニュートンの自伝『「アメージング・グレース」物語』(彩流社)を翻訳した中澤幸夫氏は、「この曲の普及に貢献した人は何といっても本田美奈子.さんだ」と述べています。
ニュートンは18世紀の奴隷貿易に従事していましたが、奴隷船に乗っていた22歳の時に嵐にあい、神に祈ったといいます。そのとき奇跡的に命が助かったことを契機に、これまでの行いを悔い改め、30代から英国国教会の牧師としての道を歩み始めます。その時の気持ちをダビデの悔い改めの祈り(歴代上17章)に重ねて歌詞にしたのが「アメイジング・グレイス」です。罪深い自分を死から救ってくださった神への感謝に満ちたこの歌は、のちに世界中の教会で歌われる賛美歌になりました(日本の代表的な賛美歌集では『讃美歌21』451番、『讃美歌第二編』167番、『教会福音讃美歌』304番、『新聖歌』233番、『聖歌』229番など)。
本田美奈子はクリスチャンではありませんが、いつもステージに出る前には舞台の天井を見上げて祈りをささげていたというエピソードが残っています。こうした畏(おそ)れをもって歌われた曲だからこそ、聴く人の心を捉えたのかもしれません。(姓名判断により2004年から名前の後に「.」をつけて改名していますが、記事では「本田美奈子」としました)