9月4日「信仰がなくならないように祈った」

わたしはあなたのために、信仰が無くならないように祈った。だから、あなたは立ち直ったら、兄弟たちを力づけてやりなさい。(ルカによる福音書22章32節)

当時、ユダヤ人は、ローマを打倒する力に満ちたメシアの出現を待ち望んでいた。人々はイスラエルを苦しみから救い、平和をもたらすのは力であると考えていた。ペトロもその一人であり、主イエスをメシアと信じ、その力に期待して従った。主はペトロたちの期待がやがて壊れることを知って、「シモン、シモン、サタンはあなたがたを、小麦のようにふるいにかけることを神に願って聞き入れられた」(31節) と言った。

主イエスはオリーブ山で、剣(つるぎ)や棒を手にした人々によって捕えられた。その時、主は人々が頼りにする剣や棒を、「闇の力」(53節)と言った。ペトロは主の奇跡によるどんでん返しを期待して、裁判が行われる大祭司の家にもぐりこんだ。ところが、彼が目にしたのは人々に侮辱され、殴られるままの惨めな主の姿だった。主への期待が失望に変わった時、彼は不意を突かれてわたしはあの人を知らない」と叫んだ

世界各地の民族紛争やテロの現実を前にして、”敵に負けない軍事力が必要””自国を守り、この世に勝つのは力””無防備、無抵抗は観念的な神学論である”という人々の声が響く。しかし、主はそういう力を「闇の力」と言って、これを拒否し、人の罪を受け止め、苦しみに耐え抜く十字架の道を歩まれた。この主こそ、世界を「闇の力」から救い、平和を実現するメシアである。今日の聖句を語った主イエスは、私たちが十字架の道を通って成就される神の国への信仰に立ち続けるようにと、天において祈っておられる。

内藤淳一郎

内藤淳一郎

西南学院大学神学部卒業後、日本バプテスト連盟の教会で牧会、鹿児島大学哲学科のカトリックの神学の学びから、鹿児島ラ・サール高校でも教える。日本バプテスト連盟宣教室主事、日本バプテスト連盟常務理事を8年間務める。

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