1月18日「悪からお救いください」

私たちを誘惑に遭わせず、悪い者から救ってください(マタイ6:13)

今日の聖句の「誘惑」とは、人を神に背かせ、その罪によって死に至らせる悪魔の誘惑である。ゆえに、「悪い事(災難)から守ってください」ではなく、「悪い者(悪魔)から守ってください」と祈る。悪魔は蛇のようにぬっと出てきて、人間に神の言葉を疑わせ、「神なしに善悪の最終判断ができる」という倣慢(ごうまん)な思いを持たせる悪い者である(創世記3章)。悪魔に誘惑された人間は、名誉や富という「いちじくの葉」で身をまとうようになった。しかし、人間の魂はこれによっては満たされない。神に背いた人間は、神の目には死んだ者である。

「悪魔は存在しない」と言う人は、悪魔の手中に陥っている。「我々(悪魔)の最後の方策は、差し当たって自分たちの存在を隠しておくことである」(C・S・ルイス『悪魔の手紙』)。悪魔の誘惑から逃れる方法は、私たちを取り返すために御子を世に遣わした神に目を向けることである。「彼ら(人間)が敵(神)に目を向けている時は、我々(悪魔)の負けである。しかし、そうさせない方法がある。一番簡単な方法は彼(神)を見つめさせず、人を見つめさせることである」(前掲書)

私たちが悪魔に勝つ生活をするためには、絶えず神に祈ることである。「一番いい事は、できれば患者(人)に真面目に祈ろうとする気持ちを全く持たせないことである」(前掲書)。祈りは、誘惑者に対抗する最大の武器である。「主の祈り」の冒頭の言葉は、体のために必要な糧(かて)と、魂のために必要な神の赦(ゆる)しに続いて、体にも魂にも必要な神の守りを求める祈りである。神の国に入る最後の日まで信仰に堅く立ち続けるために、「悪魔からお救いください」と祈るのである。

内藤淳一郎

内藤淳一郎

西南学院大学神学部卒業後、日本バプテスト連盟の教会で牧会、鹿児島大学哲学科のカトリックの神学の学びから、鹿児島ラ・サール高校でも教える。日本バプテスト連盟宣教室主事、日本バプテスト連盟常務理事を8年間務める。

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