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◆1564年2月15日 ガリレオ・ガリレイの誕生日
ガリレオは地動説を唱えたことで教会と対立した、という印象がとても強いために、キリスト教を否定した人物と捉えられれてしまうことも多いのですが、彼自身は生涯カトリックの信徒でありました。
ガリレオは教会に反発したわけではなく、また教会の側も教義として「地球中心説」をとっていたわけではありません。この論争が「宗教vs科学」という端的な構図で語られるようになったのはかなり時代を下って、科学万能主義が強くなった19世紀以降のことでした。ガリレオと教会の対決の逸話は科学万能主義のプロパガンダとして脚色されたものだったんです。当時は教会に限らず、ほぼあらゆる人が「世界は地球を中心に回っている」という天動説を当然の常識として信じていましたから、これは「宗教vs科学」の問題ではなくむしろ「既存の常識vs新しい仮説」の問題でした。
ガリレオは聖書についても非常に詳しく、論理的な考察をもって当時の聖職者たちを批判したり、神学的な考察を述べたりしていたので、地動説よりもそのことが聖職者たちの怒りに触れて、有罪判決に至ったのだと近年の研究では言われています。同じように地動説を唱えたコペルニクスやケプラーは有罪判決を受けていないことからも、地動説自体が有罪とされたのではないことがわかります。地動説はガリレオを罪に問う口実に使われた側面があるんです。
また1992年には当時の教皇ヨハネ・パウロ2世が教会側の誤りを認め、ガリレオに謝罪し、その名誉も回復されました。
いつの時代も、どんなジャンルでも新しい説は叩かれやすいということです。
それではまた明日。

MARO 1979年東京生まれ。慶応義塾大学文学部哲学科、バークリー音楽大学CWP卒。 キリスト教会をはじめ、お寺や神社のサポートも行う宗教法人専門の行政書士。2020年7月よりクリスチャンプレスのディレクターに。 10万人以上のフォロワーがいるツイッターアカウント「上馬キリスト教会(@kamiumach)」の運営を行う「まじめ担当」。
著書に『聖書を読んだら哲学がわかった 〜キリスト教で解きあかす西洋哲学超入門〜』(日本実業出版)、『人生に悩んだから聖書に相談してみた』(KADOKAWA)、『キリスト教って、何なんだ?』(ダイヤモンド社)、『世界一ゆるい聖書入門』、『世界一ゆるい聖書教室』(「ふざけ担当」LEONとの共著、講談社)などがある。新著『ふっと心がラクになる 眠れぬ夜の聖書のことば』(大和書房)2022年3月15日発売。