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◆紀元前63年12月5日 キケロがカティリナ弾劾演説をした日
キケロは古代ローマで最高の哲学者として名を馳(は)せた人で、その思想は近代に至るまでカントやモンテスキューなど多くの哲学者に影響を与えました。この人がいなかったらプラトンやアリストテレスも現代にまで伝わることはなかったかもしれません。キリスト教界に対してもアウグスティヌスや、エラスムスに影響を与えており、つまり間接的にルターの宗教改革にも影響していることになります。
同時に弁論家としてもローマ随一と言われていたキケロの、そのまた最高の演説とされているのがこのカティリナ弾劾演説です。カティリナという人がローマにクーデターを企てて失敗、それを弾劾した演説です。
このカティリナとキケロの政争を見ると、今も昔も政治家のやることは変わらないのかと思わされます。ネガティブ・キャンペーンやポピュリズム、政治とカネの問題、そして腐敗と、現代の政治で見られるようなことはほとんど当時のままです。クーデターを企てたカティリナももちろん悪いですが、「そう仕向けたのはキケロじゃん!」とも思います。人の罪は昔も今も変わらないということかもしれません。どれだけ文化や文明が発展しても、人の犯す罪はずっと同じです。
結果的にカティリナは死刑になりましたが、キケロも「やりすぎ」と非難されてローマを追われてしまいました。政争というのはいつの世にも無益なものです。罪の招くものは死と聖書にありますが、まさにその通りの結果です。
それではまた明日。
MARO 1979年東京生まれ。慶応義塾大学文学部哲学科、バークリー音楽大学CWP卒。 キリスト教会をはじめ、お寺や神社のサポートも行う宗教法人専門の行政書士。2020年7月よりクリスチャンプレスのディレクターに。 10万人以上のフォロワーがいるツイッターアカウント「上馬キリスト教会(@kamiumach)」の運営を行う「まじめ担当」。
著書に『聖書を読んだら哲学がわかった 〜キリスト教で解きあかす西洋哲学超入門〜』(日本実業出版)、『人生に悩んだから聖書に相談してみた』(KADOKAWA)、『キリスト教って、何なんだ?』(ダイヤモンド社)、『世界一ゆるい聖書入門』、『世界一ゆるい聖書教室』(「ふざけ担当」LEONとの共著、講談社)などがある。新著『ふっと心がラクになる 眠れぬ夜の聖書のことば』(大和書房)2022年3月15日発売。