べルリンのドイツ語ニュースメディア「エヴァンゲリシェ・ツァイトゥング」など複数のドイツ語メディアは6月4日付で、『希望の神学』などで世界的に知られたドイツのプロテスタント神学者であるユルゲン・モルトマン教授が、「月曜日にテュービンゲンで死去した」と報じた。98歳。
「世紀の神学者ユルゲン・モルトマンを追悼 ユルゲン・モルトマンは、近年の教会史における偉大な神学者の一人です。彼は『希望の神学』で知られるようになりました。彼は世代を形作りました。今、彼はテュービンゲンで亡くなりました」と、同紙は記した。
また、ドイツのカトリック教会メディアである「katholisch.de」も4日、ドイツ司教協議会(DBK)の議長であるリンブルグ司教ゲオルグ・ベツィングが、モルトマンを「現代で最も影響力があり、洞察力のある神学者の一人」と称賛したと報道。 「彼は希望について語るだけではなく、自分の人生を形作った神学に対する希望でもあった」とベツィング氏は火曜日、「X」(旧ツイッター)に書いたと伝え、「モルトマンの考え方はカトリック神学にも影響を与えました」と記した。
その上で、同紙は同司教の言葉を引用して「ユルゲン・モルトマンからは、エキュメニズムにとって人生が何を意味するのかを学ぶことができます。人生に神学を与えた人物に敬意を表します」と記した。
さらに、英国のキリスト教メディア「チャーチ・タイムズ」も4日、ドイツの著名なプロテスタント神学者であるユルゲン・モルトマン教授が死去したと報じた。死亡の時刻や原因は記されていない。
ドイツのプロテスタント教会の連合組織であるドイツ福音主義教会(EKD)は4日、ドイツ語公式サイトの記者発表資料として、EKD評議会議長代行でルーテル派牧師のキルステン・フェールス監督が、6月3日に死去した神学者ユルゲン・モルトマンを「プロテスタント教会にとってユニークな贈り物」と称賛したとするEKDの追悼記事を掲載した。
本人の名によるX(旧ツイッター)には、日本時間の6月5日午前9時20分ごろ、英語で次のようなつぶやきが投稿されていた。「メシア的希望は勝利者や支配者の希望では決してなかった。それは常に敗者や打ちひしがれた者たちの希望であった。貧しい者たちの希望はメシア的希望以外の何ものでもないのである」。ドイツと日本の時差は7時間。英国と日本では9時間の時差がある。つぶやきが同教授以外の誰によるものかは不明。
https://x.com/moltmannjuergen/status/1798144710495605044
なお、同教授はフェミニスト神学者のエリザベートさん(2016年に死去)と夫妻で1996年10月に来日、日本基督教団信濃町教会(東京都新宿区)で講演を行い、2003年4月には沖縄キリスト教短期大学でも講演した。
日本語訳されたモルトマン教授の著書に、最も代表的な『希望の神学』、同夫妻によるその講演会を記録した共著で『現代の終末論とフェミニズム』がある。他に、単著では『希望の倫理』『わが足を広きところに-モルトマン自伝-』『科学と知恵-自然科学と神学の対話-』『十字架につけられた神』『終わりの中に、始まりが――希望の終末論』『人類に希望はあるか 21世紀沖縄への提言 沖縄にJ.モルトマン博士を迎えて』『三位一体と神の国-神論-』『神学的思考の諸経験』『いのちの泉-聖霊といのちの神学-』『新しいライフスタイル-開かれた教会を求めて-』『神の到来-キリスト教的終末論-』『人への奉仕と神の国』『聖霊の力における教会』(いずれも新教出版社)がある。
(エキュメニカル・ニュース・ジャパン)
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