滋賀・ヴォーリズ記念病院で日本キリスト教病院協会総会

日本キリスト教病院協会総会が9月27日、新築移転した公益財団法人近江兄弟社ヴォーリズ記念病院(滋賀県近江八幡市)で開催された。1993年、「ミッションと病院経営」と題して淀川キリスト教病院(大阪市)でキリスト教病院の使命と経営のあり方を学ぶセミナーが開催されたのを機に、日本・韓国・台湾キリスト教病院最高経営者会議が発足し、現在のアジアキリスト教病院協会(宮城航一会長)に発展した。当時はプロテスタント、カトリックの病院から61人、当時淀川キリスト教病院と交流のあった韓国、台湾のキリスト教病院から9人が招かれた。

これに対し日本国内におけるキリスト教病院間の交流が少なくなっているとの意識から、2021年9月に改めて淀川キリスト教病院、オリブ山病院(那覇市)、衣笠病院(横須賀市)、ヴォーリズ記念病院、神戸アドベンチスト病院(神戸市)、賛育会病院(東京都墨田区)の会員病院に加え、オブザーバーとして救世軍清瀬病院(東京都清瀬市)が参加し、日本キリスト教病院協会第1回総会が淀川キリスト教病院で開催され、翌22年に第2回(オリブ山病院)、23年に第3回(衣笠病院)と継続。第4回となった今回は愛知国際病院(愛知県日進市)が入会し、約60ある日本のキリスト教主義を標榜する病院から7院が会員となって病院協会が形成されていることになる。

今年の総会は「スタッフへのケアと人材育成」をテーマとし、淀川キリスト教病院チャプレンの國安光氏と、東京衛生アドベンチスト病院看護部長の平野美理香氏が発題。その後ディスカッションが行われ、参加した各病院からも近況報告があった。加えて近畿地区チャプレン連絡協議会からオブザーバーとしての参加希望があり、当日朝から開催されていたチャプレン連絡会が病院見学JCHA総会に合流し、計34人の参加となった。

総会では、オリブ山病院理事長の田頭真一氏による新刊『イエス様のスピリチュアルケア:イエス様の教えと模範』(パブファンセルフ)が各チャプレンおよび参加者に贈呈された。特に昨今のスピリチュアルケアに関する論述において、イエス・キリストの働きによるものという視点が少ない中で希少な内容となっており、教会などでのテキストとしての採用の希望もあるという。亀井俊博氏(芦屋福音教会名誉牧師・近畿福音放送伝道協力会協力推進委員)は、「あまりにスピリチュアルすぎる霊解から、逆に理知的文献学的聖書解釈に至るまで極端な本が多い中で、福音派の立場に立ち、何より先生の全人医療の現場、また教会の伝道牧会の現場からの視点はまさに全人的聖書の学びにピッタリ。短い文章でポイントを突き、また例話も興味深く、教会の現場で安心して用いさせていただける」と評した。

報告では、今年11月7~9日に沖縄で開催される第27回アジアキリスト教病院協会総会(総会会長・田頭真一=社会医療法人葦の会オリブ山病院理事長)の準備経過報告と案内がなされた。主題は昨今の世界情勢に鑑み「世界的危機におけるキリスト教病院の役割:経済危機、自然災害、そして世俗主義」とされ、主題聖句には「ですから、私の愛する兄弟たち。堅く立って、動かされることなく、いつも主のわざに励みなさい。あなたがたは、自分たちの労苦が主にあって無駄でないことを知っているのですから」(コリント人への手紙 第一15・58=新改訳2017)が掲げられている。淀川キリスト教病院理事長の笹子三津留氏が基調講演を担い、今回からキリスト教病院関係者のみならず、一般病院や診療所で働くキリスト者医療者にも対象が広げられる。同協会によると、すでに日本、韓国、台湾、タイ、米国から100人を超える参加申し込みがあった。申し込み最終締め切りは10月4日。

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