今日5月31日はペンテコステです。
キリストの死と復活(イースター)から50日目(ギリシア語で「ペンテコステ」)、聖霊が使徒たちに与えられ、そこからキリスト教会が始まりました。それを記念してキリスト教会では毎年、イースターから7週間後の日曜日、「教会の誕生日」としてペンテコステを祝います。
五旬祭の日が来て、皆が同じ場所に集まっていると、突然、激しい風が吹いて来るような音が天から起こり、彼らが座っていた家中に響いた。そして、炎のような舌が分かれ分かれに現れ、一人一人の上にとどまった。すると、一同は聖霊に満たされ、霊が語らせるままに、他国の言葉で話しだした。(使徒2:1~4)
最初のペンテコステ(使徒たちに聖霊が降る出来事)が「五旬祭の日」(使徒2:1)に起こったとありますが、ユダヤ三大祭りの一つ「五旬祭」は、「過越祭」から50日目(「旬」は10日間)の祭り。小羊イエスが献げられたのが「過越祭」で、聖霊が与えられるのが「五旬祭」であることには、旧新約を貫く意味があります。
「五旬祭」は「七週の祭り」とも呼ばれますが、聖書で「7」という数字は象徴的な意味があります。天地創造の7日目が安息日であり(創世2:3、出エジプト20:10~11)、7年目が安息年(レビ25:4)。そして、「あなたは安息年を七回、つまり、七年の七倍を数えなさい。七回の安息年の期間は四十九年である。……五十年目の年を聖別し、その地のすべての住民に解放を宣言しなさい。それはあなたがたのためのヨベルの年である」(同8~10節)。ペトロが「きょうだいが私に対して罪を犯したなら、何回赦すべきでしょうか。七回までですか」と問うたのに対し、イエスが「七回どころか七の七十倍まで赦しなさい」と答えた箇所もあります(マタイ18:21~22)。このように、7にさらに7を掛けるその回復の徹底ぶりは、この「五旬祭」も同様です。
「五旬祭」は、出エジプトから50日目に十戒が授けられたことを祝う祭りでもありました。「イスラエルの人々はエジプトの地を出て、三度目の新月の日にシナイの荒れ野にやって来た」(出エジプト19:1)。「三度目の新月の日」は、エジプトを出てから「7週目」、つまり「50日目」となります。旧約においては「出エジプト」という救いの実現が「十戒」ですが、新約ではそれが「ペンテコステ」、「聖霊降臨」なのです。
突然、激しい風が吹いて来るような音が天から起こり、彼らが座っていた家中に響いた。そして、炎のような舌が分かれ分かれに現れ、一人一人の上にとどまった。すると、一同は聖霊に満たされ、霊が語らせるままに、他国の言葉で話しだした。(使徒2:2~4)
それはイエスが約束したことでした。「あなたがたの上に聖霊が降ると、あなたがたは力を受ける。そして、エルサレム、ユダヤとサマリアの全土、さらに地の果てまで、私の証人となる」(同1:8)。それを象徴するように「他国の言葉で話しだした」のです。また、そこにいた全員、「一人一人の上に」聖霊が与えられました。
エル・グレコ「聖霊降臨」(プラド美術館蔵)では、鳩が聖霊の象徴として描かれています。それは、イエスが洗礼者ヨハネから洗礼を受けた時、「聖霊が鳩のような姿でイエスの上に降って来た」ことによります(ルカ3:22)。青いヴェール(アトリビュート、その人物を特定する属性)を羽織ったイエスの母マリアを中心に、右隣にマグダラのマリア、そのまわりを使徒たちが取り囲んでいます。
また、5月31日は世界禁煙デー。世界保健機関(WHO)が制定した、禁煙を推進するための記念日です。
聖書にはそもそもタバコは登場しません。酒もタバコもやらないと思われがちなクリスチャンですが、礼拝やミサが終わると外でタバコを吸う信徒も時々見かけます。大神学者カール・バルトやバッハは愛煙家でした。お国柄や時代など、さまざまな要因がありますが、今はタバコを吸わない人が増えています。
ちなみに、バチカンが発表した声明によると、教皇フランシスコはバチカン市国内でのタバコの販売を2018年から取り止める決定をしました。
私には、すべてのことが許されています。しかし、すべてのことが益になるわけではありません。私には、すべてのことが許されています。しかし、私は何事にも支配されはしません。……あなたがたの体は、神からいただいた聖霊が宿ってくださる神殿であり、あなたがたはもはや自分自身のものではないのです。あなたがたは、代価を払って買い取られたのです。だから、自分の体で神の栄光を現しなさい。(1コリント6:12、19~20)