今日3月15日は詩人の安西均(あんざい・ひとし)の誕生日です。終戦の直前、朝日新聞の記者だった26歳のとき、日本基督教団・福岡渡辺通(わたなべどおり)教会で洗礼を受けました。キリスト教を背景にした詩は『遠い教会』(教文館)にほぼ収録されています。
「たそがれの髑髏(どくろ)ヶ丘」という詩の冒頭と最後を紹介します。
たそがれ迫る髑髏ヶ丘(ゴルゴタ)刑場に、
三基の十字架が打ち捨てられている。
この日、三人の処刑が行われたばかりだ。
……
奇蹟によっては延命されることなく、
万人と等しい死を遂げたために、
イエスは真の〈神の子〉となったのである。
それこそが、神の御意(みこころ)にほかならなかった。
紀元三〇年春。この日、ゴルゴタの丘で、
打ち捨てられたままの十字架のそばに、
アネモネが一輪、暮れ残っている。
このレントの期間、受難曲やキリストの名画を鑑賞するのもいいですが、クリスチャン詩人の言葉に触れてみてはいかがでしょうか。
また、今日から19日頃まで、72候の第9候 「菜虫化蝶(なむしちょうとなる)」 。24節気の「啓蟄(けいちつ)」の末候です。3月になり、春の日差しに温められて、土の中で冬を過ごしていた虫たちも動き始めましたが、菜の花にいた青虫も蝶になり、舞い始めるようになります。