日韓和解と平和プラットフォーム(共同代表:高田健、小野文珖、野平晋作、光延一郎)は11月14日(木)〜16日(土)の3日間にわたり、国立オリンピック記念青少年総合センター(東京都渋谷区)において日韓和解と平和プラットフォーム合同運営委員会を開催した。最終日の16日には、合同運営委員会の共同決議としての「石破茂首相への公開要望書」をもって記者会見を開いた。
日韓和解と平和プラットフォーム(以下、日韓プラットフォーム)は、2020年7月に発足し、これまで「8・15共同声明文」の発出、オンラインセミナー、そして日韓青年交流プログラムを推進してきた。今回の合同運営委員会では、韓国側の8人の運営委員と、日本側19人の運営委員および事務局員が参加し、昨今の世界と東アジア、そして日本と朝鮮半島を取り巻く情勢、日本と韓国・朝鮮との間に未だ解決されない問題点について議論した。
さらに、来年2025年、日韓基本条約締結60年、そして日本敗戦80年、韓国(朝鮮)光復(植民地支配からの解放)80年をどのように迎えるか協議を重ね、それらの結果を石破首相への公開要望書としてまとめた。
記者会見では、金敬敏氏(韓国Y M C A全国連盟事務総長)、李泰鎬氏(参加連帯平和軍縮センター所長、朝鮮半島平和行動共同執行委員長)、孫美姫氏(ウリハッキョと子どもたちを守る市民の会)、高田健氏(許すな!憲法改悪市民連絡会)、光延一郎氏(日本カトリック正義と平和協議会)、小野文珖氏(宗教者九条の和)、渡辺健樹氏(日韓民衆連帯全国ネットワーク)、金性済氏(日韓和解と平和プラットフォーム書記)、佐藤信行氏(外国人住民基本法の制定を求める神奈川キリスト教連絡会)の9人が登壇した。
合同運営委員会で3日間にわたって議論された内容とその結果を佐藤氏が報告した後、石破政権への要望文書を小野氏が読み上げた。その中で、朝鮮植民地化の背景にあった歴史事実を誠実に認め、その歴史認識の原点に立ち帰ることを要請。慰安婦問題の真実の謝罪の在り方、徴用工問題の判決に対する尊重と責任、日朝平壌宣言で約束したことの遵守と日本人拉致被害者問題解決に係るストックホルム合意の履行を誠実に果たすことなど七つの項目が挙げられた。
会見の中で金敬敏氏は、日本と韓国の問題を考えるとき、その視野は、常に日本・韓国・朝鮮の三つに向けなければ、私たちの問題は何も解決しないと力を込めた。今の韓国にとって南北問題は非常に深刻な問題で、その平和運動において日本の役割はとても大きく、日韓プラットフォームの運動を続けていくことの大切さを強く感じているという。その一方で、日本と朝鮮半島の平和問題を考えるときに重要なのは、日本の近現代史あるいは日本と朝鮮半島の近現代史が何であったか、きちんと洗い直していくことであり、そうしていかなければ現在直面している問題を乗り越えていくことはできないだろうと語った。
また、ユン・ソンニョル政権による慰安婦問題、徴用工問題はこれまでの韓国政権に比べるとかなり譲歩しており、それは決して民意を反映しているわけではないと話す。韓国市民の80%が、これらの問題に対するユン・ソンニョル政権の扱い方を否定していることを分かってほしいと訴え、最後にこう伝えた。
「今後トランプ政権下において日韓がさらに軍事同盟化し、そちらばかりに日韓関係が強化されていくことをたいへん憂慮している。そのような路線を進めば、中国・朝鮮をさらに敵視化し、より危険な方向に進むことになるだろう。そうならないためにも、石破政権にはあくまでも憲法9条の精神に立ち、朝鮮半島および東北アジアの平和の問題を考えてほしいと要望したい。日韓国交正常化に力を入れていかなければいけない。日本に大きな責任があることを、これからも日韓プラットフォームで強調していきたい」