人口減少と教会の存続危機 吉田尚志 【地方からの挑戦~コレカラの信徒への手紙】

現在室蘭市の人口は7万数千人ですが、私が赴任した2016年にはおよそ8万台でした。9年間で1万人ほどの人口が減少しています。さらに1960年代後半に最も人口が多かった時代と比較すれば、約11万人が減ったことになります。このような人口減少の事柄も多くの地方が抱える問題の一つです。

それだけということではもちろんありませんが、そのことも一つの要因となって教会員の数が減っているのが私の所属する教会の現実です。現在、12~13人の方々が礼拝に参加していますが、半分は60代から80代の方々で、もう半分が20代から50代という年齢構成です。その中には20代から30代のインドネシア人留学生が5人いますが、この皆さんがこれから先数十年室蘭に住み続けることはなく、大学卒業後には母国へ帰国するか、就職のため他県へ引っ越していくことがほとんどです。卒業後に、大学の研究室で働くこともありますが、それも期間としては1~2年で、基本的に定住することはありません。

また、同教派の地方教会の中には、詳細な事情は各々の教会によって異なると思いますが、教会員の減少が少なからず一つの要因となって閉鎖や解散、他教会との合併などを選び取るところも出てきているのが現状です。

このような実際に起こっている状況に直面しながら、同じようなことが自分の所属する教会にも現実として起こり得るかもしれないと、正直不安を覚えてしまいます。それも遠い未来のことではなく、10年あるいは5年先のこととして……。一方で、人数が少ないからこそ、礼拝や教会の諸集会を共に献げる目の前の一人ひとりがいかにかけがえのない存在であるかこれまで以上に強く思わせられるという経験をしました。このことは、教会の活動を共に歩む存在がいることを〝当たり前〟のように考えていた時には知ることがなかったものでした。

教会に迫る存続の危機という現実に相対して改めて思うことは、そのような状況の中にも神さまが示す大切なメッセージがあり、それを受け取っていく機会が教会にはあるということです。それが、たとえ目の前の具体的な問題の解決には至らなかったとしても、そのような神さまゆえの気づきの機会は〝教会の成熟〟の時になり得ると思います。

私自身、今でも自分の所属する教会の今後について不安に思う気持ちがあります。しかし、それだけではありません。いついかなる状況においても、神さまによって建てられ神さまを慕い求める教会の歩みには、神さまからの豊かな恵みが与えられるという希望があります。教会が〝神さまによってたてられた有限な存在〟としてあるとすれば、教会がその使命を終えることも、あるいは、これまでと同じかたちで活動ができないことも起こり得るでしょう。一方で、〝永遠のいのちの存在〟である神さまが、すべてを益とするその伴いと働きによって教会を祝福されていることを、困難と思える問題に直面する中でもなお、真実として見据えていきたいです。

よしだ・なおし
 1977年岩手県生まれ。高校卒業後は、実家が経営する食料品や惣菜を販売する商店に勤務。30代半ばに牧師として献身することを志し、西南学院大学神学部に入学。卒業後、2016年4月から室蘭バプテスト・キリスト教会牧師。

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