「懲戒・破門」であふれる韓国キリスト教界 洪 伊杓 【この世界の片隅から】 

最近、韓国キリスト教界は二つの懲戒事件によって混乱している。まず、「有神進化論」(Theistic Evolution)に基づいて「創造科学」を批判したという理由で、一人の神学者が大学から追放されたことである。6月18日、基督教大韓聖潔教会の教団神学校であるソウル神学大学校理事会が、6月4日にあった朴ヨンシク教授(組織神学)に対する教員懲戒委員会の解任決定を最終的に確定した。2021年10月、学校が彼の著書『創造の神学』(2018年)を問題視し、神学検証委員会を立ち上げ、朴教授を調査し始めてから2年8カ月ぶりだ。懲戒理由としては、「△本校の根本であり存立土台となる宗教的・教育的理念である創造論の立場を反映しない公式的意思表明と著作物発表をすることにより信仰宣言文に反する行為をした点」「△教員として品位を傷つけ大学の名誉を失墜させた点」が明示された。

根本主義神学(Fundamental theology)と逐字霊感説(Verbal dictation)に基づき、旧約聖書に出てくる創造物語などが文字通り事実であり、これを科学的に証明できると信じる「韓国創造科学会」がその勢力を神学大学の中にまで拡張した結果でもある。2019年、ソウル神学大学の教育課程にこの団体の支援で「創造科学」講義が開設されたが、それに反対した朴教授が突然追放対象になったのである。

この事件は、ソウル神学大学内部の問題を越え、聖書解釈と学問の自由に対する教界および学界の論争にまで広がっている。保守的な韓国改革神学会は「有神進化論は現代進化論を真理として受け入れ、聖書も真理であることを主張する辻褄が合わない理論である」とし、朴教授の解任を支持した。

しかし、それ以外の諸神学団体は、この決定に反論する声明書を発表し、懲戒撤回を要求した。韓国基督教教養学会は「この時代に適切な創造信仰は、時代精神と真摯に対話する中で、信仰伝授者である神学者たちの激しい学問的議論を通して形成され、朴教授はまさに神学者本来の任務を遂行した」と強調した。朴教授を応援するために全国神学者共同対策委員会をはじめ、韓国基督教教養学会、延世大学韓国キリスト教文化研究所、韓国文化神学会、韓国民衆神学会などが共同で「私は創造の神を信じます!――キリスト教教養人のための創造神学」をテーマとした「2024・創造神学カンファレンス」を5月17日と31日、延世大学神学館で開催した。

延世大学で開かれた「私は創造の神を信じます! キリスト教教養人のための創造神学」をテーマとした「2024・創造神学カンファレンス」

一方、基督教大韓監理会も疲弊している。2019年、仁川クィア・フェスティバルで性的少数者を祝福した李ドンファン牧師(43歳)が2023年12月8日、基督教大韓監理会京畿年会の裁判委員会から出教(破門)判決を受けた後、2024年3月4日同教団の総会から最終的に出教(破門)処分が確定したのである。これに反発した教団内部の「差別を越える監理会の会」(以下、「差別を越えて」)が7月16日、監理会本部前の希望広場で緊急記者会見を行った。この場で監理会総会同性愛対策委員会(金チャンホ委員長)が2024ソウル・クィア・フェスティバルで祝福式を行った牧師たちも追加で告発すると予告したことを強く糾弾し、同性愛賛同行為を違反と規定した『教理と章程』第3条8項の修正および廃止運動を展開すると宣言した。

監理会総会機構である「同性愛対策委」は8日、「監理教会を正しく築く連帯」などの団体と共に記者会見を行い、2024ソウル・クィア・フェスティバルで祝福式を行った金ヒョングク、南ジェヨン、朴ギョンヤン、尹ヨグン、車フンド、洪ボヨンなど6人の牧師を所属年会に告発する予定だと明らかにした。彼らはまた「私たちも李ドンファン牧師のように出教させようとするのか」という声明書に賛同意思を明らかにした牧師137人に対しても、各年会資格審査委員会に資格審査を依頼すると発表した。このような脅威に対して「差別を越えて」側は「権威主義時代の安全企画部が全社会を脅して行ったことを今日の韓国教会で同性愛対策委が真似している」と非難し、「これは時代錯誤的な暴力であり、信仰の道から離れた反信仰的な姿である。……同性愛対策委は教会の職務と市民の権利を侵害する無知で超法規的な行動を恥じて止めろ」と指摘した。また、「祝福は神様が人々を守られることを切に願う愛の表現である。祝福は最も古い信仰伝統であり、すべての人々をケアする神様の愛に参加する美しい行為で、私たちはその聖なる行いを止めない」と明らかにし、同性愛対策委の告発措置に屈しないという意思を明確にした。

このように韓国の代表的な諸教団は根本主義的創造科学、反同性愛などの嫌悪主義が主流を形成し「創造神学」と「性的少数者祝福」を罪とし、「懲戒・破門の狂風」を追い詰めている。中世の宗教裁判や魔女狩りを彷彿とさせるこのような現象は、やはり韓国政治が保守化し、過去退行的傾向を見せる社会の雰囲気と無関係ではないようだ。「(メソジスト教会の)反同性愛法が廃止されない場合、神学者と法律家、そして連帯が可能なすべての団体、国際団体を問わず国際機関と世界教会とともに連帯し、巨大な不服従運動を通してこの規程を実質的に無力化させる」とした朴ギョンヤン牧師の言葉のように、日本キリスト教界からも関心と応援が求められる。

ほん・いぴょ 1976年韓国江原道生まれ。延世大学大学院修了(神学博士)、京都大学大学院修了(文学博士)。基督教大韓監理会(KMC)牧師。2009年宣教師として渡日し、日本基督教団丹後宮津教会主任牧師などを経て、山梨英和大学の宗教主任を務めた。専門は日韓キリスト教史。

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