12月5日「わたしの平和を与える」

わたしは、平和をあなたがたに残し、わたしの平和を与える。わたしはこれを、世が与えるように与えるのではない。心を騒がせるな。おびえるな。(ヨハネによる福音書14章27節)

主イエスは「わたしの平和を与える」と言われる。主イエスが与える平和は、今日の聖句に先立って語られた聖霊による平和である。主イエスは「弁護者、すなわち、父がわたしの名によってお遣わしになる聖霊が、あなたがたにすべてのことを教え、わたしが話したことをことごとく思い起こさせてくださる」(26節)と言った。父なる神が遣わす聖霊は、私たちに主イエスが語った言葉と業を理解させる。聖霊は世界のあらゆる場所で、時代を超えて、新しい在り方で働かれる主イエスである。聖霊によって、私たちは神の愛を知り、心に平和が与えられる。

主イエスは弟子たちに「立て。ここから出かけよう」(31節)と言った。主が弟子たちを伴って行く場所は、嵐が吹き荒れる世界である。主が与える平和は、無病息災でも、平穏無事でもない。試練の嵐の中でも、かき消されることのない平和である。私たちは試練に弱い人間であるが、主イエスは「心を騒がせるな。おびえるな」(27節)と語ってくださる。その時、私たちは主が共におられることを知り、試練に立ち向かう平和と勇気とを与えられる。

地上の主イエスが弟子たちを招いたように、今、聖霊の主は私たちを招いておられる。主の招きに応え、主との交わりに生きるところに、神の平和がある。神の平和は、この世が与える一時的な平和ではない。死の恐れに打ち勝つ平和である。この平和は、日頃から聖書を読み、祈って、自分の内に聖霊の主が働いてくださる場所を空けておく者に与えられる。

内藤淳一郎

内藤淳一郎

西南学院大学神学部卒業後、日本バプテスト連盟の教会で牧会、鹿児島大学哲学科のカトリックの神学の学びから、鹿児島ラ・サール高校でも教える。日本バプテスト連盟宣教室主事、日本バプテスト連盟常務理事を8年間務める。

この記事もおすすめ