ツイッターで大人気!『上馬キリスト教会の世界一ゆるい聖書入門』(講談社)

 

東京都世田谷区にあるメソジスト系単立教会、上馬キリスト教会のツイッターが人気を呼び、『上馬キリスト教会の世界一ゆるい聖書入門』(講談社)が29日に出版される。すでにアマゾンでは予約販売が開始され、教会カテゴリーでは1位に。ノンクリスチャンが抱きがちな素朴な疑問、教会で飛び交う謎(なぞ)の言葉、名画に描かれた聖書の名シーンの数々など、読めば「目からウロコが落ちる」(聖書由来)、きっと誰かに話したくなる、老若男女だれでも気軽に楽しめる入門書だ。

『上馬キリスト教会の世界一ゆるい聖書入門』(講談社)

上馬キリスト教会のツイッター・アカウントは2015年2月にスタートして、現在はフォロワー数が7万人を超え、今もその数は増え続けている。ツイートしている「中の人」は「ふざけ担当」「まじめ担当」の二人の教会員。キリスト教や聖書の世界をおもしろおかしく切り取った140字以内のツイートが日々発信され、クリスチャンではない人に支持されている。その内容のユニークさ、斬新さ、ニュースを拾ってタイミングよく配信する俊敏さは、一つのメディアと言っても過言ではない。

本書を執筆した一人、「まじめ担当」の横坂剛比古(よこさか・たけひこ)さんに話を聞いた。

今年初め、エージェントを通して「本を出さないか」とオファーがあったという。数社の中から講談社を選んだのは、「信仰の有無にかかわらず、多くの人に手にとってもらいたかったから」。

夏頃には初稿を書き上げ、それから推敲(すいこう)や校正を重ね、ようやく出版の運びとなった。「キリスト教Q&A」「聖書名シーン」「教会用語辞典」「使徒列伝」「聖書のよくある誤解・カン違い」「聖人たちの意外な一面」「日本の日常に潜む聖書」という7章で構成され、ほとんどのページは見開きの読み切りコラムのようなもの。

「本当に簡単な言葉で、かみ砕いて聖書を解説しました。少しでも聖書に興味を持ってもらえるよう、中高生くらいから読めるようにしたつもりです。トイレや電車の中でもさっと読める感じの本にしたかったのです。しかし、これを読んだからといって、就職面接などで『聖書には詳しいです』などと言ってもらっては困りますが(笑)」

上馬キリスト教会の礼拝には、毎週3、4人、多い時で20人前後の新来会者が訪れるという。昨年のクリスマスには、約60人定員の会堂に98人も来て、すし詰め状態に。10代から3、40代が中心で、大学生も多いというから、まさに「ツイッター世代」だ。

ツイッターの印象から「面白い教会」をイメージして来る人も少なくないが、同教会はいたって普通の教会。しかし、誰一人として「普通すぎてつまらない」と言って帰る人はいないそうだ。

「おそらく上馬キリスト教会は、聖書にまったく興味がなかった人、礼拝に一度も出たことのない人にとっていちばん有名な教会になったのではないかと思います」

会堂があふれるくらいの新来会者が押しかけるノウハウでもあるのか聞いてみたところ、こんな答えが返ってきた。

「教会は、教会にしかできないことをするべきだと思います。日曜日、少なくてもここに座っている若者は、遊園地に行くことではなく、礼拝に来ることを選んで来たわけです。それなら、遊園地でもできることではなく、教会でしかできないこと、体験できないことをすればいい。それは心の洗濯かもしれないし、なんとなく知っている賛美を一緒に歌うことかもしれません。

一般の社会では、何かをして役に立つことで居場所を見つけ、リアルな今を充実させるのかもしれません。しかし、教会は違う。上馬では、リビングにあるソファで昼寝ができたら、もうここが『居場所』になっていると判断しているのですよ」

上馬のようなツイッターが全国の教会に広がることで新しいかたちの伝道ができるのではと横坂さんは願っている。

『上馬キリスト教会の世界一ゆるい聖書入門』
講談社2018年11月29日初版発行
四六判・208頁
1300円(税別)

守田 早生里

守田 早生里

日本ナザレン教団会員。社会問題をキリスト教の観点から取材。フリーライター歴10年。趣味はライフストーリーを聞くこと、食べること、読書、ドライブ。

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