トランプ政権が発足した2025年1月以降、米国のリベラル系キリスト教団体・メディアのX(旧Twitter)からの撤退が相次いでいる。Xの保有者でトランプ政権下の政府効率化省(DOGE)を率いるイーロン・マスク氏への不信感の高まりが主因と見られる。
宗教系・非宗教系を問わずリベラル系メディアのX離れはマスク氏によるTwitter買収(2022年10月)の直後から始まっていた。「言論の自由の擁護」を掲げるマスク氏は、従来のリベラル寄りの投稿規制を撤廃し、凍結されていたトランプ氏のアカウントも復活させた。これに対して「フェイクニュースの拡散に繋がる」「ヘイトを助長する」などの批判が出ていた。
米国の宗教系メディアに関して言えば、トランプ政権が発足した今年1月以降、リベラル・キリスト教系の大手2誌がXの使用中止を発表。1884年創刊の老舗雑誌「クリスチャン・センチュリー」誌は1月31日にX上で、今後はXの使用をやめ、SNSブルースカイ(Bluesky)に移行すると発表。3月12日現在、同誌のXアカウントは存続しているが、投稿活動は完全に停止している。
2月11日には1971年創刊でキリスト教福音派左派に位置づけられる「ソジャーナーズ」誌がXの使用中止を発表。その理由にイーロン・マスク体制下の同SNSの「不安定さと予測不可能さ」を挙げ、今後はブルースカイ、フェイスブック、インスタグラムでの投稿を中心にしていくと説明した。
これら2誌の他にも、マスク氏の価値観への不信感を理由に「X離れ」するリベラル系の教派団体や神学校が散見される。多様性や社会正義を重んじるユニテリアン・ユニヴァーサリスト派のミードヴィル・ロンバード神学校(シカゴ)は2月3日にX上で「これ以上の時間とエネルギーを(X上で)費やすことはない」と発表した。
(木村 智)