【訃報】 ジョン・B・カブさん(米神学者)

 米国のプロテスタント神学者で「プロセス神学」の先駆者として知られるジョン・B・カブ氏が12月26日に死去した。99歳だった。プロセス研究所が報じた。

カブ氏は1925年、神戸でメソジスト宣教師の両親のもとに生まれ、15歳まで日本で育った。その後、米シカゴ大学などで神学、哲学を学び、とりわけ英国の哲学者アルフレッド・ノース・ホワイトヘッドの「プロテス哲学」にヒントを得ながら、独自の「プロセス神学」の構築に取り組んだ。プロセス神学においては、神=世界は絶えず流動する有機的な過程(プロセス)として解釈される。カブはその視点から様々な社会問題にも取り組み、諸宗教の対立する真理の調停や、人間と自然環境の調和を唱えた。

キャリアの大半をカリフォルニア州のクレアモント神学校で教え、1971年に雑誌『プロセス研究』を創刊、1973年にはプロセス研究所を設立。同神学校は今日に至るまでプロセス思想の世界的な拠点であり続けている。

カブ氏は日本で幼少期を過ごした経験から東西の宗教間交流にも関心を抱き、日本での講演や宗教者との対話を重ねた。とりわけキリスト教と仏教の対話に関心を寄せ、『対話を超えて――キリスト教と仏教の相互変革の展望』(延原時行訳、行路社、1985年)では両宗教が謙虚に互いの真理から学び合いながら成長していくことを説いた。

その他の邦訳書に、『今からではもう遅すぎるのか――環境問題とキリスト教』(郷義孝訳、ヨルダン社、1999年)、『神学と牧会カウンセリング』(芝野雅亜規訳、日本キリスト教団出版局、2005年)、『教会の再生――どこで主流教会は間違ってしまったのか、そして、何をなすべきか?』(郷義孝訳、三恵社、2014年)がある。

(翻訳協力=木村 智)

By The Center for Process Studies, CC BY-SA 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=40571650

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