今日7月19日はジュゼッペ・カスティリオーネの誕生日です。18世紀、イエズス会の宣教師(修道士)として中国に渡り、清王朝の宮廷画家として活躍。油絵や写実的技法、遠近法や明暗法などを伝え、中国絵画に大きな影響を与えました。
1715年、27歳のときに北京へ渡り、第4代の康熙帝(こうきてい)から、雍正帝(ようせいてい)、乾隆帝(けんりゅうてい)の3皇帝に仕えました。康熙帝が亡くなるとキリスト教は禁教となり、宣教師はマカオに追放されます。しかし、郎世寧(ろうせいねい)の中国名を与えられたカスティリオーネは、画家としてそのまま宮廷に仕え続けました。その後、故郷へ帰ることなく78歳で息を引き取りますが、その51年もの長きにわたって中国で暮らすことになったカスティリオーネの数奇な生涯は、中野美代子『カスティリオーネの庭』(講談社文庫)などにも描かれています。
カスティリオーネは、西洋と中国の伝統的な技法を融合させた独自の作風を生み出しました。西洋絵画ならではの柔らかい色づかいに加え、当時の中国のやり方に合わせて、陰影をほとんどつけずに仕上げているのが特徴です。
また、帝の肖像画を最初、西洋風に斜め向きに描いたところ、中国では真正面を向いて描く必要があるため、立腹させてしまいました。そこで、改めて正面から描き直すと、皇帝はたいへん気に入ったといいます。そんな歴代皇帝や皇后の肖像画をはじめ、数多くの作品が残されています。