聴覚障がい者向けの画期的な映画が誕生 手話でイエスを描く初の長編映画

聴覚障がい者向けにキリストの生涯を手話のセリフのみで表現した映画『イエス』(Jesus:A Deaf Missions Film)が6月20日にリリースされる。キリスト者で自身も聴覚に障がいをもつジョゼフ・ジョセリンが監督を務め、主演(キリスト役)のギデオン・ファールほか主要キャストの大半も聴覚障がい者の俳優。全編のセリフが手話(アメリカ手話、ASL)のキリストの伝記映画は本作が史上初めて。

米FOXニュースのインタビュー(6月16日)に対しジョセリン監督は「私は子どものころ、家族と映画『ナザレのイエス』(1977年)を観るのが好きだった。でも自分は聴覚障がい者だったから、観る時は常に演技と字幕の間を目で行ったり来たりしなければならなかった。それで思いついたんだ。もしイエスが手話を使い、彼の言葉を字幕で読まずに済むような映画があったら、と」と制作の背景を明かした。

ジョセリンは福音を世界中の聴覚障がい者に宣べ伝える団体「デフ・ミッションズ」の最高メディア責任者で、本作以前にも、旧約聖書のヨブ記などの題材を全編手話で演じたキリスト教映画をプロデュースしてきた。

本作『イエス』のセリフはすべて手話で表現されるが、手話を知らない人も楽しめるよう、手話には字幕がつけられる。ジョセリン監督によると、「我々の望みは聴覚に障がいをもつ人々がイエスという人物をより深く知ってくれること、そして障がいのない人々が我々の聴覚障がい文化をより深く知ってくれることだ」という。

(翻訳協力=木村 智)

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