9月末から10月初めにかけて、オンライン礼拝をしている教会に韓国人の「宣教師」あるいは「留学生」を名乗る人物から不審なコンタクトがあったという通報が、異端・カルト110番や日本福音同盟(JEA)に相次いでいる。JEAの岩上敬人総主事は10月9日、注意喚起のメールをJEAの理事、専門委員会、会員教団など関係者に発信した。注意喚起の内容は次のとおり。
(以下、JEAの注意喚起から引用)
(1)教会のYoutube配信動画を見て関心を持ちました。聖書を学びたい、先生と話したい、という連絡が来る。求道者としてコンタクトをとるのは中国人の女性。
(2)お話がしたいとZoomミーティングのリンクを送ってくる。(こちらでZoomミーティングを設定しても、必ず自分たちのZoomミーティングで行うように指定してくる。)
(3)そのZoomミーティングに入ると韓国人宣教師を名乗る男性と通訳の女性がその人と一緒にいる(3名)。
(4)求道者らしき人はほとんど話さず、韓国人宣教師が通訳を使って、自己紹介と自分の働きを紹介して、教会を励ましたいから協力したいと言ってくる。
(5)継続してZoomミーティングを持ちたいと連絡してくる。
以上の手口が共通しております。素性はまだまったくわかりませんが、役割分担がはっきり分かれていて(求道者役、自称韓国人宣教師、通訳)、組織的に動いている可能性もあります。手口は異端カルト的な教会へのコンタクトの仕方のようにも感じます。
今週末、こういった事例がJEA総主事まで届いておりますので、各教会におかれましてはくれぐれもご注意をお願いしたいと思います。また所属教会にも注意喚起いただけたら幸いです。異端カルト110番にも問い合わせを出しております。
以上、ご注意をお願いいたします。Youtube配信をしている教会を中心にコンタクトをとっていると思われます。
(以上、引用ここまで)
一方、異端・カルト110番の「お問い合わせ・ご相談」フォームに来た通報は、いくつかバリエーションがあるが概要は次のようなものだ。
(1)韓国からの留学生の趙佳映(チョ・ガヨン)または「ゆり」と名乗る女性が、「YouTubeの礼拝は公開されていますか」と問い合わせてくる。
(2)教会のYouTube礼拝を友達と一緒に見て恵まれたと連絡が来る。
(3)その友達が知り合いの宣教師に教えたところ、先生とZoomで話したいと言っている。
(4)その宣教師(ソ・テファンまたは日本名オオタダイスケと名前を明かすケースもある)は来日して2年になり、もうすぐビザが切れるので帰国するが、これまで聖書をオンライン講義してきた受講生が100人くらいいるので、YouTube礼拝をしている教会に託していきたい、と言っている。
佳映(ガヨン・よしえ)と名乗る女性は「元々韓国で教会生活を楽しんでましたが、日本の留学を始めたこととコロナウィルスの流行により教会の礼拝は少し休んでました。だが、最近コロナの大流行によって落ち着いてる人々が神様の御言葉により、再び希望を得る姿をみて新しく教会の礼拝に参加してみたくなりました」との触れ込み。そして、次の段階では「母国へ帰る宣教師が、聖書を勉強している生徒たちに勧められる礼拝を探している」という話を持ち出す。
「礼拝を友達と一緒に捧げてみました。友達も多くの恵が受けられて感動したらしいです。それで、その友達が参加した後に知人の方にもその礼拝に対して少し話してみたらしいです。その知人の方は、私はまだ詳しくは知らない方ですが、宣教師の方で日本で教会を運営はしてないですが、現在日本で聖書の御言葉の講義をしてると聞きました。しかし、来年に母国へ帰ってしまうので、今聖書を勉強してる生徒さんたちにお勧めできる礼拝を探してるらしいです。そのため、友達がその宣教師さんに今回聞いた礼拝の話をして、その宣教師さんも深く興味持ったらしいです。それで、友達が宣教師さんに本教会の礼拝をもっと詳しく紹介したがってますけど、もしよければ、その宣教師の方と一度オンライン(ZOOM)でお会いして、少しお話を聞いてくださいませんか?」
他の通報では、
この「宣教師」はビザが切れるので帰国しなければならない。
教会形成はしなかったがオンラインで聖書を講義している人が100人ほどいるので、オンライン礼拝をしている教会に託していきたい。
宣教師は以前は「大韓イエス教長老会」に属していたが事情があって今は単立になっているそうだ。
というトークも確認されている。
「大韓イエス教長老会」は韓国最大勢力だが、「長老派」を示す表現であり、一つの教団の名前ではない。中には主要教団から「異端似非(カルト)」と規定されている教団も「大韓イエス教長老会●●」と名乗ることがある。メールを受け取ったある牧師が「大韓イエス教長老会の何という教団ですか?」「その教団から今は脱退しているとのことですが、何という宣教団体から派遣されているのですか?」と確認したところ、曖昧な返事しか返ってこなかったという。同時期に複数の教会に同じような申し入れをしてくることも尋常ではない。
情報を総合すると、宣教師が教えていた聖書講義の受講者たちを託していきたいという内容であることが共通している。現段階では「YouTube礼拝をしている教会に」という趣旨だが、対面礼拝が再開すれば彼らは教会に出席することになるだろう。韓国では近年、クリスチャンや求道者を装ったスパイが礼拝など教会の集会に集うようになり、教会員を密かに自分たちの聖書勉強に誘い出し、異端の教えに染め上げて教会を乗っ取るなどの手口が猛威を振るっている。
この報道を受けて、元新天地信者から「これは確実に新天地のやり方だ」とする通報があった。オンライン礼拝をしている教会にコンタクトを取ってきた女性は日本語のできる韓国人なので、指示を受けて行動しているという。
「新天地イエス教証拠(あかしの)幕屋聖殿」であれば、「聖書講義をしていた(100人ほどの)受講生を託していきたい」という自称“韓国人宣教師”と連絡を取り続けることは非常に危険だ。聖書講義の受講生を託したいということは、現在はオンライン礼拝を視聴するだけでも、対面礼拝を再開すれば彼らが教会に出席する可能性が高い。訓練を受けたスパイ「収穫の働き人」を求道者やクリスチャンを装って教会に送り込み、秘かに教会員を自分たちの聖書勉強に誘い出すというのが新天地の典型的な手口だ。教会内に自分たちの同調者を増やしていき、しまいに乗っ取るというのが彼らの伝道戦略であり、韓国では多くの教会が被害を受けていると報告されている。
また、新天地の伝道によってマインドコントロールを受けると、家族をサタン呼ばわりする、周囲にウソをつき続けなければならない生活に葛藤する、反対する夫との離婚を指示される、などカルト特有の家庭崩壊や人間関係の破壊が起こる。韓国では親たちが新天地の教会や裁判所の前で「子どもを返せ」と訴える姿が社会問題になっている。