神さまが共におられる神秘(81)稲川圭三

イエスさまと一緒に生きる方向転換を今日、迫られている

2016年12月4日 待降節第2主日
(典礼歴A年に合わせ3年前の説教の再録)
悔い改めよ、天の国は近づいた
マタイ3:1~12

待降節第2主日を迎えています。祭壇の前のアドベントのろうそく2本に火が灯りました。4本灯ると、その週のうちに「主の降誕」、クリスマスがやって来るという暦になっています。

洗礼者ヨハネは、「自分の後から来られる優れた方のために道を整える」という意識をはっきり持っていました。

「わたしの後から来る方は、わたしよりも優れておられる。わたしは、その履物をお脱がせする値打ちもない」(マタイ3:11)

ヨハネが考えていた「後から来る方」というのは、厳しく裁く方、峻別(しゅんべつ)する方でした。「良い実を結ばない木はみな、切り倒されて火に投げ込まれる」(10節)。「麦を集めて倉に入れ、殻(から)を消えることのない火で焼き払われる」(12節)。そういう方をヨハネは考えていたようです。

マッティア・プレティ「洗礼者ヨハネの説教」

その方は「手に箕(み)を持って、脱穀場を隅々まできれいにし」と言われています(12節)。

私たちにあまり馴染みのないイメージですが、麦を収穫して、穂から麦の殻を外し、それを切って実と殻を分ける作業が脱穀場では行われていました。

しかし、まだ実と殻が混在しています。そのままでは食べられません。分けなければならないのです。

そこで、「箕」という道具でポ~ンとその混ざったものを放り上げ、それを風の力によって選(よ)り分ける。もみ殻は風で吹き飛ばされるが、実は重いのでその場に落ちる。それを繰り返すのです。箕で投げ上げ、風で選り分け、麦は集めて倉に入れ、殻は消えることのない火で焼き払われる。

そして、「その方は、聖霊と火であなたたちに洗礼をお授けになる」と言っています(11節)。聖霊とは風、火は炎のイメージなので、この選り分ける作業も、「聖霊と火による洗礼」のイメージです。

こういう厳しく峻別される方が来られる。洗礼者ヨハネは、その方にみんなの心を向けるために水で洗礼を授け、みんなの方向をその方に向かうよう整えるために来た。そういう方でした。

しかし、実際に来られたキリストは、「裁き分ける」というよりは「赦(ゆる)す」方。罪人、徴税人、娼婦をいつくしむ方、憐れむ方でした。

後にヨハネはヘロデに捕らえられ、牢屋の中でイエスのうわさを聞くことになります。しかし、自分が想像していたのとはまったく違うその有り様に、「本当にこの方が、来るべき方なのだろうか。もっとほかの方を待たなければならないのだろうか」と考えたのです(11:2~3参照)。

「悔い改めよ。天の国は近づいた」(3:2)と言ったヨハネの後に登場したイエスさまも、「悔い改めよ。天の国は近づいた」と言われました(4:17)。

「悔い改め」とは方向転換のことです。根本的な方向転換です。

「悔い改めよ」。この言葉は、今日、私たちに語られています。私たちも今日、根本的な方向転換を迫られています。それは、「イエスさまと一緒に生きる」という方向転換です。

イエスさまはインマヌエル(「神は我々と共におられる」の意味)です。神さまが共にいてくださることを信じて生きられた方です。だから、そのお方が今日、「わたしは世の終わりまで、いつもあなたがたと共にいる」と約束されたとおり(28:20)、一緒にいてくださいます。

そのお方と一緒の向きで生きる方向転換を、「今日」呼びかけられているのです。

そのお方と一緒に生きるとは、「自分の内にも、あなたの内にも、神さまが一緒にいてくださることを認めて生きること」です。これが、私たちの今日するべき根源的な方向転換です。

イエスさまと一緒の向きで生きる。イエスさまは先に一緒にいてくださるので、そのイエスさまに私たちのいのちの向きを合わせて一緒に生きる。そういう方向転換をするように求められていると思います。テーブルの上にある食卓塩。蓋(ふた)の部分が回転する仕組みのものがありますでしょう。上の穴が下の穴と合っていなかったら、振っても中身は出てきません。向きがあって、上の穴と下の穴がぴったり合うと中身が出てきます。それと同じように、イエスさまと一緒の向きで生きるよう、方向転換をしなければならないのです。

今日、共にいてくださるイエスさまのいのちに私たちがそっぽを向いていたら、一緒に生きることができません。ですから、同じ向きで生きさせていただくように願いましょう。心も、体も、魂も一緒に生きさせていただくようにお願いして、このごミサを共におささげしたいと思います。

また、今も全世界には、「神さまが一緒にいてくださることなど聞いたこともない」という方が大勢おられます。ですから、そのことを知らせていただいた私たちは、そのことを人に祈って告げ、一緒に生きる者になりますように、ご一緒にお祈りをしたいと思います。

 






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