同じメソジストのキリスト教学校、青山学院大学(東京都渋谷区、三木義一学長)と弘前学院大学(青森県弘前市、吉岡利忠学長)とは15日、「連携・協力に関する基本協定」を締結した。弘前学院大キャンパスで行われた調印式では、三木・吉岡両学長が協定書に署名し、固く握手を交わした。
これは、①学生の交流、②教員・研究者の交流、③プロジェクト研究やシンポジウムなどの共同実施、④学術研究資料、刊行物、情報などの活用といった面で、両大学の連携・協力の推進を図ることを目的としている。
両大学とも、キリスト教プロテスタントでメソジストの信仰に基づいた教育を行っている。また、弘前学院を創設した本多庸一(ほんだ・よういつ)が、青山学院の第2代院長を務めたほか、第6代の阿部義宗(あべ・よしむね)、第7代の笹森順造(ささもり・じゅんぞう)も弘前出身という縁がある。
今回結んだ協定により、両校の資源を活用し、相互の持続的な発展と、多様な価値観に基づく新たな価値創造に寄与することを目指し、さまざまな取り組みを行うという。
たとえば青山学院大は、今年度新設した「コミュニティ人間科学部」(実践を通して地域の課題解決に取り組む人材を育成する)を中心に、青森県での地域活動やボランティア活動などで連携することや、インターネットを活用した新たな講義や単位互換など、将来的な連携の方向性についても三木学長は示唆した。弘前学院大は、スキーなどウィンター・スポーツの合宿やイベントを通じた交流も深めたいという。
弘前学院大の吉岡学長は次のように語る。「大学の規模や内容が多彩である青山学院大との提携はこの上もない喜びであり、本学にとって歴史的なこと。ゆくゆくは単位互換なども含めて、内容を詳細に詰めていきたい。全国の高校生に人気が高い青山学院大と協定が結べたことは、学生数が減っている地方の私立大学の活性化にもつながる」。青山学院大の三木学長も「地方や海外で活躍する人材を育てたい」と期待を寄せた。
青山学院大がこれまで連携してきたのは、都内の大学や地方自治体などで、地方の大学とこうした協定を結ぶのは初めて。また弘前学院大も、4月26日に韓国の大邱(テグ)大学校と協定を締結するなど、これまでに米国の3大学、韓国の5大学、中国の2教育機関と姉妹校提携を結んでいるが、国内教育機関では初めて提携を結ぶことになる。
青山学院大は、明治初期にメソジストの宣教師が設立した3つの学校(女子小学校、耕教学舎、美會神学校)が母体。1894年に青山学院と改称する。スクール・モットーは「地の塩、世の光」(マタイに5:13〜16)。
弘前学院大は、弘前メソジスト教会(現在の日本基督教団・弘前教会)内に「来徳(らいと)女学校」(出資者のキャロライン・ライトにちなむ。函館の遺愛女学校の分校)として1886年に設立された。翌年、弘前遺愛女学校に改称し、その後、弘前女学校、弘前聖愛高等女学校、そして1948年の学制改革により弘前聖愛高等学校となり、50年に弘前学院短期大学、71年、弘前学院大学が開学する。建学の精神は「畏神愛人」(神を畏れ人を愛すること)。
メソジストとは、18世紀、形骸化した英国国教会に対するリバイバル(信仰復興)運動として、ジョン・ウェスレーによって始まった教派。規則正しい生活方法(メソッド)を重んじたため、「几帳面屋」(メソジスト)とあだ名された。長老派が教義に重点を置く理知主義的なのに対し、メソジストは信仰生活の「きよめ」を強調する。救世軍やホーリネス系の教会も、メソジストの流れに位置づけられる。