Q.私の通っている教会がカルトかどうか怪しいのですが、かといって判別ができません。「カルトである」というのは、どこで線引きができるのでしょうか?(40代・女性)
どこまでがカルトではなく、どこからがカルトかという線引きはとても難しい判別なのです。辞典ではカルトの定義を「熱狂的信者の閉鎖的集団、マインドコントロールによる信者獲得、絶対服従などで、さまざまな社会問題、家庭問題を引き起こす』(現代用語事典の要約)」となっています。特に社会的犯罪(詐欺、傷害などの事件)を犯した集団を破壊的カルトという呼び方で区別します。キリスト教の異端で、統一協会、エホバの証人、モルモン教などは、カルト度は非常に高く、しかし近年、既成の教会がカルト的になって社会問題化したこともあり、自分の教会がカルト的ではないかと心配になることもあるでしょう。
その集団がカルト的かどうかの客観的な評価は、日本脱カルト協会(JSCPR)が提供している「集団健康度チェック」(http://www.cnet-sc.ne.jp/jdcc/GHI/index.html)で採点することができます。300点満点で何点かという評価になります。通常の教会でも100点以下の数字になりますが、それが150点やそれ以上ならきわめてカルト度が高いという評価でしょう。
カルト問題にも取り組んでいる私のところへいろいろな問い合わせも入ってきます。カルト的だと思われるのは、①勧誘が強制されている、②献金が過度に強制される、③この集団だけが唯一の教会(他を兄弟姉妹として認めない、同一集団内だけの結婚など)、④集団内に罰としての暴力が容認されている、など複数当てはまる場合です。これらの傾向は、前述の破壊的カルトにもうかがわれる傾向であるだけに、一つの判別の基準と考えてもよいと思います。
では、教会がカルト化しないためにはどういう働きが必要かということです。地域教会の交流、教会一致運動の流れは、教会の自浄作用としても機能する大切な働きだと考えています。
*本稿は既刊シリーズには未収録のQ&Aです。
ひらおか・まさゆき 1950年、福岡県生まれ。日本ルーテル神学大学神学部(現ルーテル学院大学)、日本ルーテル神学校卒業。83年より日本福音ルーテル教会牧師。85年から統一協会、94年にはオウム真理教信者の脱会支援に着手するなど、長くカルト問題に取り組み、カウンセリング活動を続けた。共著書に『マインドコントロールからの解放』(三一書房)、『啓示と宗教』(サンパウロ)など。2009年、58歳で逝去。