第二次世界大戦終結後の1945年、ダグラス・マッカーサーが率いる連合国軍総司令部(GHQ)が「宗教団体法」を廃止し、「宗教法人令」が施行された。これにより、天皇の神格性を謳った「国家神道(こっかしんとう)」が廃止され、信教の自由が認められるようになったのを契機に、多くの宣教団が来日し、宣教団体や教会を設置するなど、キリスト教の布教が活発化した。
高校生を対象に伝道を行う「hi-b.a. (high school born againers 通称:ハイビーエー)」も、この時期に日本で活動を開始した宣教団体のひとつだ。
2021年9月23日には設立から70周年を祝う記念本大会をYouTubeで配信し、日本のhi-b.a.創立者であるケネス・クラーク夫妻をはじめ、多くのOB・OGがhi-b.a.で過ごした時間を振り返った。
10代の多感な時期、若者たちはどのようにしてキリストと出会うのだろう。自身も高校生時代をhi-b.a.で過ごしたというスタッフ・スズキ知恵子さんに話を聞いた。
――hi-b.a.の活動内容について教えてください。
私たちの活動の3本柱は「定期集会」「特別集会」「キャンプ」です。定期集会はその名の通り、全国各地にある拠点で定期的に行われている集会のこと。特別集会は、スポーツや音楽など目玉を打ち出すイベント的な集まりで、伝道集会や学びがメインになることもあります。キャンプは春・夏・冬の学校が休みの期間に開催しています。関東では九十九里浜にキャンプ場を所有していますが、ほかの地域ではキャンプ場などをお借りして行っています。
ただ、コロナ禍を受けて最近ではオンライン開催に切り替えています。また、4本目の柱としてSNSを活用してメッセージやクリスチャンライフ情報を配信する「オンライン宣教」も活発化しています。
――hi-b.aでは「高校生による高校生伝道」をモットーにされていますが、どのように伝道を進めているのでしょうか。
高校生は子どもからオトナへの移行期であり、自己が確立していく大切なときです。この時期は同年代の存在が大きく、友達の声が大きな影響を与えます。
ですから、オトナ(hi-b.a.スタッフ)が福音を伝えるだけでなく信仰決心をした高校生を励まし、キリストの証人として堅く立っていくための訓練も必要だと考えます。そのため、集会には、ゲームや食べ物イベントのような楽しい時間に加え、賛美、みことばの学び、祈り、暗唱聖句、恵みの分かち合いが組み込まれています。高校生に届くみことばの解き明かしや、高校生に届きやすくするためにはどうしたらよいか……など、日々模索しています。
――スズキさんご自身のhi-b.a.での思い出を教えてください。
私自身は高校1年生のときに参加した夏のキャンプで、ある方の証を聞いたことをきっかけにはっきりと信仰決心をしました。クリスチャンホーム育ちで、周りからは順調に信仰生活を送っているように見えていたかもしれませんが、実際は自分自身と神さまの関係は定まっておらず、証の中で聞いた御言葉によってはっきりと確信をいただいたのです。このほかにも、祈ることや祈り合うこと、賛美する喜びなど、たくさんの恵みをいただきました。
――通っている教会に同世代の若者がいないという高校生クリスチャンも少なくありません。同世代とつながりたい、hi-b.a.に参加したいという場合はどうしたらいいですか?
同年代の信仰の友達は生涯続く大きな宝です。hi-b.a.に参加したい場合、こちらからご連絡をいただければ、お近くの集会情報をお伝えします。
hi-b.a.の伝道対象は「日本の高校生(とその世代)」なので、クリスチャンはもちろん、未信者の高校生の参加も大歓迎です!
――次世代に向けた宣教は、多くの教会が課題に感じていることだと思います。実際に高校生たちに関わっている団体としてアドバイスやヒントがあれば教えてください。
私たちは決して「成功」して今を迎えているのではありません。神さまの召しに応えるべく、同労者たちと、また高校生や卒業生たちと膝を突き合わせて次世代の宣教について考え、さまざまな取り組みをしています。
ぜひ、hi-b.a.の集会(オンライン&オフライン)やキャンプ、またオンラインセミナーをのぞきにきてください。リアルな葛藤や恵みを見聞きすることができると思います。次世代宣教、一緒に取り組んでいきませんか。
――今後の活動や目標、夢について教えてください。
私たちには、「2050年に47都道府県に高校生伝道の活動の拠点を置く」というビジョンがあります。現在はそれに向け、今置かれている各地の集会に高校生が集まれるように願ってスタッフは集会やキャンプ等開催、高校生への関わり、教会やミッションスクールや神学校にコンタクトを取るなど、さまざまな活動を行っています。また、全国の高校生に届くために各地に高校生伝道の働き人が起こされることが不可欠ですので、ネットワークを築いているところです。
私たちは高校に遣わされたキリストの証人が、大胆に証をし、救われる魂が起こされていくのを見たいと思っています!
1938年にブラント・リード氏によってニューヨークで結成された高校生(と同世代の若者)を対象とする伝道団体。日本での活動は1951年からスタート。すべての高校生に福音を伝えることを目指し、集会やキャンプ、オンラインセミナーなどを通じて聖書やイエス・キリストに触れる機会を提供。ポッドキャスト番組「ヒバラジオ」も配信中。