私はかつて中高の数学の教員でした。私の住む地は、本日、8月31日で夏休みが終わり、9月1日から新学期でした。
「ドラえもん」ではのび太がよく8月31日の夜に、必死になって宿題をやっていました。少なくとも私の勤めていた学校で、9月1日までに課題が終わっていないと、教員はやり直しを命じます。そんな、40日間くらいをかけて終わらせることを想定した課題なのに、9月2日までの1日間で終わるわけはないと思うのですが、教員はそれを要求します。それに応えてしまう生徒さんもいました。1日でできるのですね。もちろん1日では終わらない場合、どうなるかと言いますと、教員は翌9月3日までに仕上げてくることを要求します。これが繰り返されて、しまいには2学期の中間テストの課題とごっちゃになるころには、双方、疲れ果てて、もうどうでもよくなっています。というか、その前に文化祭がありましたね。それでもうなし崩し的にどうでもよくなっていくのです。
だいたい教員は、ゴールデンウィークの前にもたくさんの課題を出す傾向にあります。それに、数学科だけではなく、国語も英語も社会も理科も課題を出すでしょうに、少なくとも私の勤めていた学校ではそれらはまったく連携していませんでした。どれだけ無茶なゴールデンウィーク課題が出ていた(出ている)ことでしょう。それに、ゴールデンウィークはまるまる家族旅行に行くご家庭もあるはず。それなのに、あたかもゴールデンウィークはずっと家にいるかのような分量の課題を出す教員。そして、その課題を出した教員自身は、ゴールデンウィークに家族旅行に行っていたり、まるまる遊んでいたりする。
いや、部活の試合の引率をしている教員が最も多かったでしょうけどね。私もオーケストラ部のその年の交響曲の指揮者用スコアとすべてのパート譜のコピーで追われて、とてもゴールデンウィークは遊べなかったものです。そして、とにかくそういうことを言われた教員は開き直ります。「くやしかったらお前、教員になってみろ!」って。「教員なんかになるかよ、バカか」と生徒からは思われているのですが、教員はそれに気づきません。
ついでに言いますと、数学では「点と直線の距離」といった概念で「距離」と黒板に書くのはなかなか画数が多いですし、たいへんなので「きょり」と平仮名で書くとか「キョリ」とカタカナで書く教員も多かったものです。しかし、生徒がそれをノートに写すとき、彼らは「きょり」だの「キョリ」だのは認めず、漢字で書かせるのでした。そこを突っ込まれると、やはり彼らは「くやしかったら教員になってみろ!」と高笑いをするのですが、生徒からは「教員なんかになるかよ、バカか」と思われていることにさっぱり気づいていません。
その他、「読書週間」の「先生方からの推薦図書」なんて、かえって読まれないものだ、ということにすら教員は気づいていなかったりします。