第8回「おふぃす・ふじかけ賞」の授与式が22日、上野の森キリスト教会(東京都台東区)およびオンラインで開催された。コロナウイルス感染症拡大により3年ぶりとなった授与式では延期された第6回と第7回についてもあわせてお祝いした。
おふぃす・ふじかけ賞は、クリスチャンで臨床心理士の藤掛明氏が2015年に自身のブログをとおして立ち上げた。毎年、藤掛氏が言うところの「独断と偏見」をもって、キリスト教を背景としたカウンセリングやカウンセリング的な発想を示した良書を選定して授与している。
第6回の受賞作は、河村従彦氏『牧師・教会リーダーのためのメンタルヘルス 教職・信徒が共に歩むために』(いのちのことば社)、森マミ氏『大人になった発達障害の仲間たち』(いのちのことば社)、中村佐知氏『隣に座って スキルス胃がんと闘った娘との11か月』(いのちのことば社)の3冊。第7回は、豊田信行氏『夫婦となる旅路』(いのちのことば社) 、石丸昌彦氏監修『精神障害とキリスト者 そこに働く神の愛』(日本キリスト教団出版局)の2冊 。そして、第8回となる今年は、 ジョン・ヒューレット氏『牧師のレジリエンス 逆境でも燃え尽きない再起力』(いのちのことば社)。さらに、「百万人の福音」(いのちのことば社)、「Ministry(ミニストリー)」(キリスト新聞社)、「舟の右側」(地引網出版)の雑誌3誌に特別賞が贈られた。
授与式では、表彰状が贈られるとともに、それぞれの受賞者がスピーチを行い、受賞の喜びを述べた。それと同時に、どのような目的意識から書かれたのか、また、企画から本の制作に至るまでの様々なエビソードが語られた。
今年の受賞者であるジョン・ヒューレット氏は『牧師のレジリエンス 逆境でも燃え尽きない再起力』を書くにあたり、同僚の牧師や教会の役員・信徒、家族、編集者など多くの人たちに助けられたことを明かし、「この本を読んでくれる人たちの信仰の歩みが、荒野に道を、荒地に川をもうけてくださる神さまからレジリエンス(再起力)を受け、さらに豊かになることを心から願っています」と語った。中村佐知氏と石丸昌彦氏はこの日出席できなかったが、代わりに担当編集者がメッセージを読み上げた。
授賞式の後、第2部として特別賞が贈られた3誌の編集長、宮田真実子、松谷信司、谷口和一郎(Zoomで参加)の各氏による座談会が行われた。テーマは「雑誌の創造、雑誌の冒険」で、司会を森真弓氏が務めた。
藤掛氏は、ブログに特別賞を贈った3誌について、「選評のようなものを書いてみた」として、次のような文章を載せている。
「ミニストリー」(2022年冬号をもって終刊)も「舟の右側」も歴史が短い。だから攻めの雑誌作りができるのだと言える。かたや、歴史のある雑誌は、そうはいかない。……ただ、「百万人の福音は、特集や連載記事などに、雑誌を刷新しようとする姿勢を感じる。またそのうえで、良い意味での、心理カウンセリング的な視点を感じることがある。
座談会では、それぞれの雑誌の特徴や、どのように他の雑誌を見ているかなど感想を語り合った。印象に残っているテーマとしては、「クリスチャン2世」「牧師夫人」「牧師につまづく信徒」などがあげられた。また、雑誌が置かれている現状と課題についても意見を交換しあった。「どのような雑誌だったら手に取りたいか」という問題提起や、SNSによって言葉はどんどん短くなる中、ネット上ではできない雑誌の役割があるのではないかなどの意見も出された。