米聖公会 助成金の停止受け難民再定住および移民支援部門を縮小

米国聖公会のショーン・ロウ総裁主教は1月31日、全職員に向けた書簡の中で、難民・移民の支援に携わってきた職員22人を解雇するという苦渋の決断を下したと報告した。

書簡の中で総裁主教は、トランプ政権が難民再定住支援に対する助成金提供を停止する決定を下したことを受け、米国聖公会が担ってきた難民再定住および移民支援に関する部門の縮小を決定し、勤務する22人の職員に2月14日をもって職務が終了することを通知したと明らかにした。

その上で、「この突然の変化は深い悲しみや怒り、不安を伴うものであることは十分に理解しています。長年にわたり、難民再定住支援に尽力されてきたことに対し、心から敬意を表します。私自身もまた、この大切な働きが終わりを迎えることに、深い喪失感を覚えています」としながら、今回の連邦助成金の打ち切りは、「決して米国聖公会が移民や難民とともに歩む姿勢を放棄することを意味するものでは」ないと明言。

「どのような政治的変化があろうとも、私たちは神の召命に応え続け、寄留者を迎え入れる務めを果たさなければなりません」と、新たな決意を表明し、祈りの連帯を呼びかけている。

書簡の全文は以下の通り。


親愛なる同僚の皆様

皆様もすでに予期されていたこととは思いますが、本日は厳しいお知らせをお伝えしなければなりません。1月24日、トランプ政権は難民再定住支援に対する助成金の提供を停止する決定を下しました。この決定を受け、私たちは苦渋の末、連邦助成金によって運営してきたEpiscopal Migration Ministries(EMM、米国聖公会の難民再定住および移民支援を担う部門)の事業を、2月14日をもって段階的に縮小することを決定いたしました。本日、EMMに勤務する22名の職員に対し、その日をもって教会での職務が終了することを正式に通知いたしました。彼らには、給与の補償、健康保険の継続利用、再就職支援サービスを含む退職パッケージを提供し、これまで培ってきた賜物や技能、そして情熱を新たな道へと活かしていただけるよう、可能な限りの支援を行います。

今後、Sarah Shipmanの指導のもと、EMMの連邦助成金プログラムの整理業務を担当する少数精鋭のチームが活動を続けます。このチームは、各プログラムの専門知識と責務、業務遂行能力、加盟団体や連邦政府との調整力を基準に、一定の勤続年数も考慮したうえで選ばれました。

職を離れることとなった皆様にとって、この突然の変化は深い悲しみや怒り、不安を伴うものであることは十分に理解しています。長年にわたり、難民再定住支援に尽力されてきたことに対し、心から敬意を表します。私自身もまた、この大切な働きが終わりを迎えることに、深い喪失感を覚えています。しかしながら、EMMへの連邦助成金の打ち切りは、決して米国聖公会が移民や難民とともに歩む姿勢を放棄することを意味するものではありません。

私たちの信仰は、困難の中で異国へと導かれた人々の物語に根ざしています。聖書にもこうあります。

「寄留者を虐げてはならない。あなたたちもエジプトの国で寄留者であったからである。」(出エジプト記22章20節)

どのような政治的変化があろうとも、私たちは神の召命に応え続け、寄留者を迎え入れる務めを果たさなければなりません。

この困難な数週間の間、どうか私と共に祈ってください。これまでEMMの支援を受けてきた難民の方々、新たな人生を歩む希望を絶たれた家族、そして米国聖公会における奉仕を終えざるを得なくなった職員のために。主が彼らを祝福し、導いてくださいますように。

主にある忠実なしもべとして

(翻訳協力=佐藤俊介)

米国聖公会 移民に関する大統領令を受けて書簡「移民はキリストの体の一員」 2025年1月25日

関連記事

この記事もおすすめ