「クリスマス市(し)セレモニー」が12月1日、山口記念サビエル聖堂(カトリック山口教会)で行われる。「日本のクリスマスは山口から始まったことを後世にも伝えたい」との思いから、山口商工会議所青年部が1997年からイベント事業をスタート。2007年からは、12月1~31日までの1カ月間、山口市は「クリスマス市」と名を変えて、オープニングの「クリスマス市セレモニー」をはじめ、さまざまなイベントを展開している。
いまや日本全国至るところでクリスマス・ツリーやイルミネーションを目にすることができるが、日本で初めて教会でクリスマスが行われたのは戦国時代、山口市においてだった。
当時の宣教師が16世紀末の日本伝道を克明につづったルイス・フロイス『日本史』によると、それは次のようだったと伝えられている。この地を治めていた戦国大名、大内義隆(おおうち・よしたか)からフランシスコ・ザビエルに布教が許され、与えられた南蛮寺で1552年12月24日、日本で初めて降誕を祝うミサが行われたという。
「山口において日本で初めて降誕祭の祝いが催されたが、その報(しら)せに接したキリシタンたちは、これを大いに喜んだ。……降誕祭当日に彼らは歌ミサを唱え、キリシタンたちは、それが初めてのことであったから非常に喜んで傾聴した。そしてその夜を徹して彼らはキリシタンたちに我らの主なるキリストの生涯を読んで聞かせた」
「12月、山口市はクリスマス市になる。」事務局の春永亜由美(はるなが・あゆみ)さんにイベントや見どころについて話を聞いた。
「12月の間は、クリスマス・コンサートやクリスマス・カード作りのワークショップなど、大人も子どもも楽しめるようなイベントが行われたりと、地域一帯がクリスマス一色に染まります。山口市長の名刺の肩書も『クリスマス市長』と記載されるんですよ。
25日には山口サビエル記念聖堂でミサが行われるほか、初日である1日には、聖堂との協力で実現した『クリスマス市セレモニー』が例年行われています。毎年、多くのアーティストの方々にもご参加いただき、1552年当時に歌われたのではないかと考えられる『グレゴリオ聖歌』を参加者全員で歌います。
実は、聖堂は一度焼失しているんですよ。1951年にサビエル来訪400年を記念して建てられた旧聖堂は、91年に火事に見舞われ、98年に今の聖堂が完成しました。そこで22年前より、旧聖堂の姿を模したモニュメントをイルミネーションで再現しています。
また、3年前にスタートした『やまぐち光誕祭』も見どころの一つです。クリスマスが祝われるようになったのは、大内義隆とサビエルとの『きずな』があってこそというメッセージを込めた4章立ての光のショーで、聖堂の横に置かれたサビエルの銅像にもスポットライトが当たり、幻想的な雰囲気に包まれます。
私たちは『きずな』というキーワードをとても大切にしていて、このテーマは毎年変わることはありません。さらに今年は、この『きずな』を史実として知ろうという取り組みを行っており、歴史講座も開催します。
さまざまな新しいものやキリスト教の教えを受け入れた大内氏と、彼らの築いた『大内文化』を私たちは誇りに思い、後世に伝えるために、このような活動を続けています。1552年から変わらずずっとクリスマスをお祝いしてきた『クリスマス市』へ、ぜひたくさんの方に足を運んでいただけたら嬉しいです」