ルーテルが行うイースターヴィジルって何?

 

イースターヴィジルが日本ルーテル神学校と日本福音ルーテル三鷹教会、保谷教会の共催で、3月31日午後6時からルーテル学院大学チャペルで行われた。司式は河田優氏(ルーテル学院大学チャプレン)、説教は李明生氏(三鷹教会牧師、現田園調布教会)。

ヴィジル(vigil)とは「寝ずの番」「通夜」という意味。イースター前日の夕方からキリストの復活を待ち望み、夜通し献げられる礼拝を「イースターヴィジル」と呼ぶ。

ユダヤの伝統では、土曜日の日没に安息日は終わり、十字架の出来事があった金曜日から3日目となる日曜日が始まる。そして、その夜から明け方までの間にキリストは復活されたのだ。

「徹夜祭」というのは、旧約における十字架の救いの予型(かたどり)である出エジプトの出発時、「その夜、主は、彼らをエジプトの国から導き出すために寝ずの番をされた。それゆえ、イスラエルの人々は代々にわたって、この夜、主のために寝ずの番をするのである」(出エジプト12:42)という記述に従って守られてきた過越祭における習慣だ。そして、イエスも弟子にこのように言いつけられた。「腰に帯を締め、ともし火をともしていなさい。主人が婚宴から帰って来て戸をたたくとき、すぐに開けようと待っている人のようにしていなさい。主人が帰って来たとき、目を覚ましているのを見られる僕たちは幸いだ」(ルカ12:35~37)

イースターヴィジルは、カトリックでは「復活徹夜祭」と呼ばれ、1年間の典礼の頂点と位置づけられている。ただ、文字どおり徹夜するわけではなく、通常の倍ぐらいの時間をかけたミサが土曜日の夜に行われる。キリスト教の3大教派の一つ、正教会では、土曜日の深夜から日曜日の明け方にかけて、まさに徹夜で復活大祭(パスハ)の奉神礼を執り行う。プロテスタントでは典礼暦(キリスト教暦)に従って礼拝を持つところは少なく、キリスト教三大祝祭(クリスマス、イースター、ペンテコステ)を祝うぐらいだが、カトリックに近い聖公会(復活前宵礼拝)やルター派教会では「イースターヴィジル」の礼拝を土曜日の夕方に行う。ただ、日本のルーテル教会でこれを行っているところは限られている。

ルーテル教会ではイースターヴィジルは、時代とともに限られた聖職者のみで執行されるようになっていたが、1950年代、カトリック典礼改革運動の盛り上がりとともに見直され、60年代には式文にも採用された。つまりこれは、現代の礼拝刷新運動の原点とも言える礼拝なのだ。

イースターヴィジルは次のような構成で執り行われる。

①光の祝祭……会堂の玄関で、たき火から大きなパスカ(過越)キャンドルに火(復活の光)をともして礼拝堂まで行進し、キリストの光の到来、闇への勝利、死に対するいのちの勝利の救いを象徴する。

会堂の外で焚き火からパスカキャンドルに火がともされる。

②み言葉……神の救いの歴史をたどるように、旧約聖書から7箇所朗読される。1箇所ごとに詩編か賛美歌が歌われ、黙想と祈りがなされる。続いてローマ6章3ー11節が読まれる。「キリスト・イエスに結ばれるために洗礼を受けたわたしたちが皆、またその死にあずかるために洗礼を受けた」(3節)。そして、福音書から復活の箇所が読まれ、説教がある。

③洗礼……洗礼式が行われるが、教会員が洗礼の意味を思い起こすよう、洗礼の水を棕櫚の葉によって会衆に振り掛ける儀式がある。

④聖餐
⑤派遣

礼拝は通常よりも長く、全体で2時間ぐらいある。

 






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