台風15号により、千葉県南房総の高齢者の生活が脅かされていることを知り、神戸国際支縁機構の7人のメンバーは15日、本部を2台の車で出発しました。
まず、千葉市今井で被災した在日朝鮮人宅のがれき撤去を行っていた李柱成(リ・ジュソン)さんたちを手伝い、台風被害で崩れた倉庫のがれき撤去に汗を流しました。
南房総にある鋸南町(きょなんまち)に入ったとたん、電柱が曲がり、アルミ製ビニールハウスは無残につぶれ、多くの屋根にブルーシートがかかっていました。竜島(りゅうしま)海岸にまで進むと、巨人がのし歩いて踏みつぶされた観がありました。
館山(たてやま)市役場では、携帯電話の充電のためにいさかいが起きたり、民間ボランティアを追い返したり、住民たちは憤りを持っておられました。2階もずぶ濡れになり、布団なども使い物にならなくなりました。ごみ処理も、役場から分別などの指示がないため、無法地区となっています。
鋸南町竜島で傾聴ボランティアをした際、神田弘志さん(78)、芳江さんご夫妻から、「民間ボランティアはすぐに動くけれど、社会福祉協議会、ボランティア・センターは5日後に動き出し、直後には何もしてくれなかった」と憤慨しておられました。
館山市をさらに南下しました。波佐間(はざま)でも、屋根が吹き飛ばされた家屋、転倒している車輌が道路脇に放置されていました。台風15号の威力のすさまじさを物語っています。
千葉県の最南端近くの布良(めら)地区に入り、唖然(あぜん)としました。すべての屋根がブルーシートをかぶっています。布良地区の5つの区の総合区長である嶋田政雄さん(75)の依頼により、川を堰(せ)き止めるがれき撤去し、5つの地区の屋根瓦(がわら)の修理に取り組みました。ご自宅の天井、玄関の扉、部屋も雨漏りのダメージがありました。
豊崎美代さん(89)から、天井が雨漏りしてきたということで瓦修理を依頼されました。曹洞宗龍樹院の鐘楼、本堂の屋根も台風で被害を受けています。瓦がないと人は住めません。ブルーシート、土のう、ロープなどを持って、はしごや脚立(きゃたつ)などを使って屋根に上り、ボランティアに取り組みます。メンバーの一人がリフォーム店を経営していた関係で、屋根などの修理について的確な助言をもらえました。
神戸国際支縁機構のメンバーは千葉停電ボランティアに足を踏み入れて痛感します。行政は動いていないようにしか映りません。被災の最先端に向かう私たちは、市街区域でない山間部や郊外、海辺などに入り込みます。復旧について優先順位で後回しになっているのでしょう。
被災家屋は迅速な対応がなければ、雨風によって、畳、布団が損なわれて臭くなり、ボランティアがいなければ片づけもできません。独り住まいの方はみじめです。ライフラインなどが復旧できれば震災は一段落したというイメージがメディアによって作り上げられている問題があります。