カトリック札幌教区(教区長:勝谷太治司教)は27日、「新型コロナ肺炎感染拡大防止のための措置について」という文書を発表し、「この感染症が終息するまで……聖週間典礼、および主日の公開ミサ、公開の集会を自粛する」と通知した。聖週間の典礼は、会衆なしの典礼が司祭のみによって行われるという。
ただ、復活の主日(12日)以降について、聖体の秘跡にあずれない期間が長く続くことは相応(ふさわ)しくないので、当面、主日の典礼は参加者を分散させるなどして限定して実施することを勧めるとした。
札幌教区ではこれまで、2月25日付の文書で、「2月27日(木)から3月14日(土)まで、公開のミサ・集会祭儀や集まりを行わない」とし、3月10日付の文書では、「4月4日(受難の主日前日)まで公開のミサおよび集会等は実施しない」としていた。
札幌教区が管轄する北海道で確認された新型コロナ・ウイルスの感染者は168人(27日現在)。
「新型コロナ肺炎感染拡大防止のための措置について」の全文は次のとおり。
札幌教区では新型コロナ・ウイルス感染拡大防止のため、公開ミサと公開の集会を自粛してきました。北海道に於ける緊急事態宣言は解除されましたが、感染が終息に向かっているわけではなく、急激な感染拡大がどうにか抑えられている状態です。ここ数日、教区顧問や司祭評議員、そして道内の専門家の意見を聞きながら慎重に検討してまいりました。そして、クラスター感染の防止のための集会の自粛は引き続き、今以上に気を緩めずに取り組まなければならないと言う結論に至りました。事態は私達が感じているほど楽観的なものでないようで、強い危機感を維持する必要があります。私達に必要とされていることは、全ての国民とともに、この感染症を押さえ込むまで努力を続ける覚悟です。私達にとって最大の意味を持つ聖週間の典礼は、一方では普段のミサよりはるかに感染拡大のリスクが増します。更に、専門家は公開ミサの再開についても強い懸念を表しました。社会的な責任を果たす為にも、社会にリスクを与える行為はたとえ信仰の行為であっても自制すべきと言えるでしょう。その為、現状での判断として、この感染症が終息するまで、(諮問した専門家の意見は分かれていますが、おおむね7日から20日間以上感染者0が続くか、治療薬が開発されるまで、)聖週間典礼、および主日の公開ミサ、公開の集会を自粛することにいたします。この期間が終了するまで、主日、守るべき祝日のミサへの参加義務を免除します。聖週間典礼は、バチカンからの教令(別紙参照)に従って、会衆無しの典礼が司祭のみによって行なわれます。洗礼式等は、個別に実施してください。
復活の主日以降について、聖体の秘跡に与(あずか)れない期間が長く続くことは相応しいことではありません。その為当面、主日の典礼は、参加者を分散させるなどして限定し、別紙に示す条件を満たして、ミサ・集会の祭儀を実施することを勧めます。たとえば、地域別に時間を分けてミサ・集会の祭儀を複数回実施する。あるいは月の第何週目の主日をどの地区の信者のミサにすると言う形で参加者を限定する。また、ミサ参加希望をあらかじめ登録して参加者を限定して実施する等、様々な工夫をして毎週ではなくても信者がミサ・集会の祭儀に参加できるようにしてください。その為に、期間中、司祭には1日に3回以上のミサをする許可を与えます。また、今までのように、参加者が少人数のミサ、平日のミサも、別紙の条件を満たしていれば可能です。尚(なお)、部外者の参加がない小規模の修道院、外部の方との接触がない観想会等の修道院での聖務日課やミサ・集会祭儀等は、これまで通りです。結婚式はできるだけ自粛し、葬儀にあたっては十分な感染防止策をとって実施してください。
この措置は、私達が感染しない為にと言うよりも、知らない間に私達が感染源となり、それによって感染した人が命を落とす可能性を排除する為です。すなわち、私達の犠牲を通して失われるかもしれない「いのちを守る」為の行為であることをご理解ください。
世界中で爆発的感染が起こり、世界の主だった都市で教会のミサは捧げられなくなっています。そんな中、イタリアでは、コロナ・ウイルス患者の臨終に立ち会い病者の秘跡を授けた司祭たちが50人以上も感染して死亡したと報道されています。日本においても都市部では同様の爆発的感染が起こりうる状態です。このような世界情勢にあって、教皇様は、「新型コロナ・ウイルスのパンデミックに対して、全世界の祈りと思いやり、優しさで対抗していきましょう。一致を保ちましょう」(2020年3月22日「お告げの祈り」でのことば)と呼びかけ、下の意向で祈るよう呼びかけておられます。
聖週間典礼は、司祭たちによってそれぞれ教区、小教区の信徒と霊的につながって捧げられます。この期間、信徒の皆さんには、霊的に一致し、教皇様の意向にあわせて、以下の祈りを捧げてください。
●この病で亡くなられた人々のため
●病床にあって苦しんでいる患者とその家族の為
●献身的に働いている医療関係者の為
●対策を講じる立場の人達が正しい判断を下せるように
●この病が1日も早く終息するように困難に直面している私達が、世界の人達と連帯してこの試練を克服できるよう、神の祝福が与えられますように。
ミサ・集会の祭儀を実施するにあたっての条件
・換気を充分に行なう
・隣の人との距離を充分に空ける
・参加者はできるだけマスクを使用する(応唱による飛沫飛散防止のため)。その他留意すべき事
聖歌を歌うことはできるだけ避ける。〈既報済み注意事項〉
1 一般的な衛生対策として、咳(せき)エチケットに配慮し、手洗いを心がけましょう。聖堂や信徒会館の入り口に、手指消毒用のアルコールを設置しましょう。
2 体調不良の場合は、無理をせずに、ミサの参加の自粛をお願いします。具体的には、咳、発熱、呼吸困難ですが、特に、咳や37・5℃以上の発熱などの風邪症状がある人は当面の間、ミサに来ることをお控え下さい。風邪に類似した症状で体調が優れない場合は、主日のミサに与る義務を免除します。
3 聖堂入り口などに用意された聖水盤は、使用を控えます。(聖水ではなく聖水盤に不特定の人が触れる事による接触感染を防止する為)
4 体調に不安がある場合、ミサ中にマスクを着用して構いません。また聖書朗読者や先唱者、侍者にあっても、同様にマスクを着用して構いません。
5 司祭や臨時の聖体奉仕者をはじめ、御聖体を手で拝領する方は、必ずミサ前に充分に手を洗ってください。
6 口(舌)での聖体拝領はご遠慮ください。
7 ミサの前にチボリウムの中へ信徒用の小さいホスチアを信徒各自が入れることをしばらく停止する(ピンセットの使い回しを避ける為)。典礼係など特定の人が奉納の前に概数を入れるようにする。
8 聖体拝領はホスチアのみにして御血の拝領はとりやめる。
9 不特定の方々が接触するドアノブなどの消毒をこまめにするようにしてください。