今日8月2日は、日本人初の海外派遣宣教師である中村長八(なかむら・ちょうはち)神父の誕生日です。67歳でブラジルに渡り、83歳で帰天するまでの17年間、1750人に洗礼をさずけたといいます。
五島列島の中で最も大きい福江島で生まれましたが、3歳のとき、海難事故で父を失い、15歳のとき、母とたった一人の姉が亡くなります。その年、フランス人神父の推薦で長崎の神学校に入学。40歳で司祭に叙階され、奄美大島に。その26年間に、カトリック信者でない島民からも親まれ、尊敬されたといいます。
1908年からブラジルへの日本移民の流れが始まり、その中にはカトリック信者も含まれていました。そこで、ブラジルの日本人宣教のために司祭を募集したところ、誰も名乗り出なかったので、中村神父がこう言って立ち上がったのです。「もう年老いておりますので、さほどお役に立つとは思いませんが、もし私でよければ、私がブラジルへまいりましょう」
中村神父は、広大な地域に散在する日本人家庭を巡回訪問してミサなどの秘跡を授けるため、徒歩や馬で移動し、野宿することもしばしばでした。その姿を見た人々は「生ける聖人」と呼び始めたといいます。また、「日本移民の心の父」として慕われました。現在、バチカンで列福調査(聖人に次ぐ福者に列するための調査)が進められており、列福されれば初の殉教者ではない日本人福者となります。