静岡県熱海市の北側に位置する伊豆山地区で7月3日、大規模な土石流災害が発生。家屋や電柱などを巻き込んだ大量の土砂は約2キロにわたって流れ落ち、その一部は相模湾にまで達し、これまでに3人の死亡が確認されている。また、災害発生から2日以上が過ぎても、64人の安否が確認できず、現在も懸命の救助作業が続いている。
この災害を受けて、国内外で被災者や難民の支援活動に取り組んでいる兵庫県の神戸国際支縁機構(理事長:岩村義雄)は、災害発生の翌日に3人のボランティアを現地に派遣し、賀川豊彦が始めたコープ、福祉のパイオニアである今井鎮雄(元YMCA総主事)によってできた神戸の社会福祉協議会、フードバンクなどからの支援物資を持って熱海市役所を訪問した。
ボランティアの一人として現地に入った同機構の理事長・岩村義雄さん(神戸国際キリスト教会牧師)は、その時の様子を次のように話す。
私たちは4日、支援物資を持って熱海市の齋藤栄市長を訪問し、そこで鈴木秀明室長から、被災状況についてお聞きしました。鈴木室長によると、500人の住民が市内のホテルに避難し、高齢者など弱者50人は、別のホテルに避難していること、その時点で安否不明者が100人にのぼっているということでした。
その後、避難所になっているホテルでは、熱海市に住む被災者が「川のない山から土石流が押し寄せ,近所の家屋も流された」と被害にあった時の恐怖体験を語ってくれました。別のホテルは老人ホームなどの施設利用者の避難所となっており、ライフラインが解決するまで生活するホテル避難は、睡眠、食事、サービスが整っており、学校などの体育館にはない配慮が行き届いていると感じます。費用は市が全て負担することになるので、コロナ禍のため旅行者が激減しているホテルでは、今後の災害避難所対策についての良きケースとして全国に波及することを願っておられます。
聖書では、「私はあなたがたの地に,秋の雨や春の雨など,必要な時期に雨を降らせよう。あなたは,穀物,新しいぶどう酒,新しいオリーブ油を収穫するだろう」(申命記 11:14)と約束していますが、残念なことに経済優先の日本では、限界集落が生き残るための土木事業は、自然を破壊しています。ちょうど1年前、熊本豪雨により球磨川が氾濫しました。自然破壊がこういった自然災害を引き起こす要因であることは誰もが認めるところです。
また、ボランティアをしていて常に思うのは、災害大国として政府には、被災者対応の在り方をもっと考えて欲しいということです。もっと言えば,災害原因を調査する研究者の資質についても毎年審査し、被災地の声を吸い上げるようになってもらいたい。そして、国・市長村による政策をメディアがしっかり取り上げるようにする。そうしないと市民の願いとは逆なことが行われてしまうからです。
「川が流れて行く所はどこでも,そこに群がるすべての生き物は生き,魚が非常に多くなる。この水が入ると,そこの水は癒され,この川が流れる所では,すべてが生きるからである」(エゼキエル 47:9)と聖書は語っています。自然が損なわれることがない日本の原風景を取り戻すために,私たちは引き続き、被災地、孤児、シングルマザーと共生していきたいと思っています。