【訃報】 指揮者ヘルベルト・ブロムシュテット氏 安息日を守り続けたアドベンチスト信徒 N響桂冠名誉指揮者

世界的な指揮者で、NHK交響楽団(N響)の桂冠名誉指揮者として日本でも親しまれたヘルベルト・ブロムシュテット氏が11月4日、スウェーデン・ヨーテボリの自宅で死去した。99歳。所属事務所が発表した。家族に見守られながら息を引き取ったという。セブンスデー・アドベンチスト教会の敬虔な信徒として知られ、聖書に基づく安息日の遵守を徹底しながら、70年以上にわたり世界の主要オーケストラで活躍した。

1927年、米マサチューセッツ州にスウェーデン人の両親のもとに生まれた。父はセブンスデー・アドベンチスト教会の宣教師、母はピアニスト。幼少期をスウェーデンなどで過ごし、ストックホルムやウプサラで音楽を学んだ後、米国でも研鑽を積んだ。54年に指揮者としてデビュー。ドレスデン国立歌劇場管弦楽団(シュターツカペレ・ドレスデン)、サンフランシスコ交響楽団、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団などの首席指揮者や音楽監督を歴任し、ベートーヴェン、ブラームス、ブルックナーなどの演奏で高い評価を得た。

その音楽活動を支えていたのが、幼少期から培われたキリスト教信仰だった。所属事務所も訃報の中で、同氏の生涯と行動がセブンスデー・アドベンチストとしての信仰によって一貫して形作られていたと強調している。同教会は土曜日を聖書に定められた安息日とし、礼拝と休息を重視する。ブロムシュテット氏もその教えを忠実に守り、安息日にはリハーサルを行わないことを原則とした。一方、演奏会については音楽を通じて人々と喜びを分かち合う営みとして位置付け、土曜日にも指揮台に立った。

セブンスデー・アドベンチスト教会の公式通信は2012年、同氏が音楽を神の栄光を表す手段であり、創造主の恵みと偉大さを証しするものと考えていたと紹介。教会関係者は、信仰、とりわけ安息日による休息と回復が、長年の音楽活動を支える力となっていたと語っている。厳格な信仰生活と世界的な演奏活動を両立させた姿は、同教会の信徒にとっても広く知られていた。

日本との関わりも深い。73年に初来日し、81年11月にN響と初共演。86年に名誉指揮者、2016年には桂冠名誉指揮者に就任した。2018年には、日本の音楽文化の向上と発展に寄与した功績が認められ、外国人叙勲として旭日中綬章を受章した。

90代になっても精力的に来日を重ね、2025年10月には98歳でN響の定期公演に出演。三つのプログラムで計6公演を指揮し、26年3月にはその演奏が評価されてミュージック・ペンクラブ音楽賞の特別賞に選ばれた。

2026年には第37回高松宮殿下記念世界文化賞の音楽部門を受賞。10月28日に東京都内で開かれた授賞式には健康上の理由で出席できず、代理人が顕彰メダルを受け取った。受賞者紹介では、信仰に基づいて禁酒、禁煙を貫き、楽団員との対話や信頼関係を大切にしてきた姿勢が紹介されている。

Amrei-Marie – 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=149282086による

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