もっと楽しく、もっと深く、もっと、もっとミッフィーを好きになる展覧会 「誕生70周年記念 ミッフィー展」開催中

『うさこちゃんとたれみみくん』 2006年 印刷原稿

オランダの絵本作家でグラフィック・デザイナーのディック・ブルーナ氏の手によって1955年に生まれた「ミッフィー(うさこちゃん)」が、2025年に誕生70周年を迎えた。それを記念して、「もっと、もっと、ミッフィー」をテーマに「誕生70周年記念 ミッフィー展」(主催:そごう美術館、神奈川新聞社、「誕生70周年記念 ミッフィー展」実行委員会)がそごう美術館(横浜市西区)で開催されている。初来日となる『うさこちゃんおとまりにいく』(1998年)、『うさこちゃんのだいすきなおばあちゃん』(1996年)の原画をはじめ、ミッフィーシリーズの絵本全32作品の原画やスケッチなど200点以上が日本初公開。11月4日(水)まで。

『ちいさなうさこちゃん』(改訂版)1963年 原画

世界中で愛されている「ミッフィー」は、1955年にオランダで『NIJNTJE(ちいさなうさこちゃん)』(初版/日本未刊行)という絵本によって誕生した。そこにはミッフィーの誕生が描かれている。「ふわおくさん」のところに天使がやってきて、ミッフィーが生まれ、そこにたくさんの動物がお祝いにやってくるという内容だ。当初のミッフィーは、耳も目も下向きで、現在の姿とは異なっていた。デザインが変化したのは8年後の1963年。日本においても同年、石井桃子の翻訳により福音館書店 から『ちいさなうさこちゃん』という邦題で出版された。

『ちいさなうさこちゃん』(初版)1955年

同展では、ブルーナ氏が手がけたミッフィーシリーズの絵本全32作品の原画やスケッチが日本で初めて一堂に展示されている。素朴な線で描かれたミッフィーが、家族やお友だちとのあたたかいつながりの中でたくさんのことを経験していく様子を作品をとおして辿(たど)ることができる。

初来日となる『うさこちゃんおとまりにいく』(1988年)、『うさこちゃんのだいすきなおばあちゃん』(1996年)の2作品に『うさこちゃんとたれみみくん』(2006年)を加えた3作品からは、特に多くの原画や資料が紹介されている。ブルーナ氏のデザイン的な冒険や遊び心、おばあちゃんの死をまっすぐに描いた物語、お友だちとの身体的な違いからミッフィーが気づいたことと勇気ある行動などが描かれ、ミッフィー絵本の大切なエッセンスを感じる。

『うさこちゃんおとまりにいく』1988年 印刷原稿

『うさこちゃんとたれみみくん』2006年 印刷原稿

また、2005年に開催された「ミッフィー展」で紹介された、ブルーナ氏が原語の『うさこちゃんとうみ』を読む映像を20年ぶりに再公開されている。やさしく、ときにユーモラスなブルーナ氏の声で、原語のオランダ語の物語の響きを味わうことができる。さらに、アーティストを夢見ていた若きブルーナ氏が描いた絵画作品をはじめ、父の経営していた出版社でデザインしたペーパーバックの装丁やポスターも展示。デザインの仕事での挑戦が、ミッフィー絵本に影響を与えていたことにも注目だ。

『うさこちゃんとうみ』1963年 原画

ぬくもりあふれるストーリーや、愛らしい登場人物たち、リズミカルな言葉や、グラフィカルな色、線、構図など、あらゆる角度からミッフィーの魅力を紹介する同展で、もっと深く、もっと楽しく、もっと、もっとミッフィーを好きになってほしい。

Illustrations Dick Bruna © copyright Mercis bv,1953-2025  www.miffy.com

会場:そごう美術館(そごう横浜店6階)
開館時間:午前10時~午後8時。※入館は閉館の30分前まで。
入館料:一般 1,800(1,600)円、大学・高校生 1,200(1,000)円、中学生以下無料。
公式オンラインチケットはこちらから。
展覧会公式サイト

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