Q.教会の役員になるために、何か資格が必要ですか?(30代・男性)
教会の役員は、長老や執事とも呼ばれます。牧師や伝道師と共に、神と教会に仕える職務です。その役員を選出するのに、教会においては主に3通りの方法があります。
一つは牧師などの指導者が任命する方法、二つに牧師と役員会で推薦し、教会が承認する方法、三つに教会員が、総会において自己責任を持って多数決で選任する方法です。
ではどんな人が役員として、その役割を担うのでしょうか。このことについては、テモテへの手紙一(3章8~13節)やテトスへの手紙(1章5~9節)などに記されています。そこで語られている資質とは、人格における資質と、信仰・霊性における資質と、役割を果たす賜物・能力が大切にされています。
もう少し具体的に述べると、①人格・人柄において信頼・尊敬できることです。役員は人と関わります。よって人間としての人格が信頼される人であることが期待されます。②信仰や霊的な面において、神と教会に誠実であることが求められます。礼拝や集会に努めて参加し、「什一献金」に励み、交わりや奉仕において誠実であることです。③任される責任を果たす能力・賜物をある程度持っていることです。
ところが起こりがちなことは、発言力のある人や自分と親しい人や能力だけはある人が選ばれて、謙虚な人や目立たない誠実な人が見落とされやすいということです。さらには、社会的に活躍しているからという理由で選ばれることすら起こります。
私も40年余り教会を見てきて、役員として選ばれた人に大いに疑問を感じることが何度もありました。本当に祈って選んでいるのか疑問を持つことが起こっているのです。人が人を選ぶということは、とても難しいことです。ふさわしくない人が役員となれば、それは教会にとって悲劇です。その判断の鍵を神は教会に託されていますので、他人事ではありません。
*本稿は既刊シリーズには未収録のQ&Aです。
かつもと・まさみ 1950年熊本県生まれ。聖契神学校卒業後、立正大学仏教学部(日蓮宗)を卒業。あわせて僧階課程を修了。その後、仏教大学で仏教学(浄土宗)を専攻。神道や民俗宗教の学びの必要を覚えて、神道宗教学会に加入。郷里熊本で牧会の後、1990年から千葉県流山市で開拓伝道を開始した。後に日本聖契キリスト教団に加入し、聖契神学校講師(比較宗教·日本教会史)を担当。著書に『日本人の生活習慣とキリスト教』『日本の宗教行事にどう対応するか』(いずれもいのちのことば社)など。