Q.既婚者がカトリックの神父になるためにはどうすればいいでしょうか?(60代・男性)
神父になることを本人が一方的に望むだけでは神父になることはできません。他の職業のように、資格を取ればなれるというようなものでもありません。
本人が自由に望み、精神的、身体的(健康)に、また学問的に教会が求める条件を満たしていなければなりません。そのような準備が整った上で、教会からの認可が必要になります。
本人の望みと教会の望みが一致しなければ神父になることはできません。この場合の教会とは、神父の養成にかかわった側の推薦と司教の認可を意味します(宣教会や修道会の場合はその長上の判断)。
既婚者が神父になることを望む場合、まず本人が所属する教会(小教区)の司祭に相談します。次にその教区の司教に相談します。
カトリックの神父になるためにはさまざまな条件を満たす必要がありますが、その中のひとつに、自由に独身制を受け入れることが求められています。
家庭生活を営みながら神父になることはできません。夫婦の同意の基に別居すること、子どもがいる場合、その扶養の義務が終えていることが当然求められます。妻と死別している場合もあります。その上でもっとも大切なことは、本人が神父になることを望む動機でしょう。子育てを終え、子どもたちが独立してしっかりとした家庭を築き、その後、神父になった人もおられます。
神父になることを望む人が独身者であれ、既婚者であれ、その望みは深い祈りの中から生まれてくるものです。
外面的な諸条件を完全に満たしていても、神とのつながりが満たされていなければ神父になることはできないものです。
なお、カトリック教会には家庭生活をおくりながら教会に奉仕する終身助祭制度があります。このような助祭は今、増えつつあります。
*本稿は既刊シリーズには未収録のQ&Aです。
やまもと・まこと 1953年福岡県生まれ。80年、カトリック司祭となる。81~85年、ローマ在住(教会法研究)。福岡教区事務局長、福岡カトリック神学院院長などを経て、カトリック西新教会主任司祭、