全世界のカトリック教会では毎年1月1日を「世界平和の日」として、特別に平和のために祈るが、教皇フランシスコは7日、来年度「世界平和の日」のテーマを発表した。それは「平和に奉仕する良い政治」(仮訳)。
「世界平和の日」は、1968年、ベトナム戦争が激化する中で、教皇パウロ6世により制定されたもの。それをカトリック教会では今も受け継いで、新年にあたり、戦争や分裂、憎しみや飢餓などのない平和な世界が来るようにと、降誕したキリスト「平和の君」に平和を祈り求める。
教皇は毎年この日のためにメッセージを送ってきた。米国同時多発テロ事件(2001年)のあった翌年のテーマは「正義なしに平和はなく、ゆるしなしに正義はありません」、そして今年のテーマは、難民問題で揺れる世界の現状を踏まえて、「移住者と難民、それは平和を探し求める人々」だった。
バチカン広報部は以下のようなコメントを発表した(バチカンニュース)。
「政治的責任は、すべての市民に属するものです。特に、守り、統治する役割を負った人々の責任はなおさらです。
その使命は、権利を保護し、社会の成員・世代・文化間の対話を促進することにあります。
相互の信頼なしに、平和はありえません。信頼は、約束を尊重する上での第一の条件です。
政治活動は、カリタス(愛)の最も高度な表現の一つです。それは人々の命、地球、若者や子どもたちの未来を気にかけ、それを実現させることを熱心に目指すものです。
聖ヨハネ23世の回勅『地上に平和を』(1963年)に記されるように、人間がその権利を守られる時、その人の中に他人の権利を尊重する義務感が芽生えます。
人間の義務と権利は、自分が神と他の人々と共に、一つの共同体に帰属しているという意識を育てます。
それゆえに、私たちは、誰もがその尊厳と権利を尊重される、未来の良き知らせとして、平和を告げ、もたらすよう招かれています」