東京基督教大学シオン祭 今年のテーマは「あ!」

 

東京基督教大学(TCU、千葉県印西市)の大学祭「シオン祭」が8日、開催された。当日は曇天ながらも時おり日が差して、秋らしい1日となった。1067人が来場し、大いに賑(にぎ)わった。

シオン祭実行委員長の本間春奈さん(キリスト教福祉学専攻)は、今年のテーマ「あ!」についてこう話す。

「東方の博士たちは空に輝く星を見て、救い主の誕生を知りました。彼らはきっとこの星を見た瞬間、『あ!』と声を出して驚いたことでしょう。その声につられて、まわりにいた人々も星を見て驚き、そして救い主の誕生を喜んだに違いありません。現代に生きる私たちは、忙しい毎日の中、神様のみわざや新しい発見を見過ごすこともあるのではないでしょうか。そういう意味で、『あ!』という気づきが与えられるシオン祭にしたいと、このテーマに決定しました」

「復活書店」「キリ神カフェ」「雑貨屋さん」「人形劇」など、出店も多彩だ。また、国際色豊かな同大らしく、屋外には各国の郷土料理などを中心とした模擬店が並び、人気の店の前には長蛇の列ができていた。

サークル「わわわクラブ」=8日、東京基督教大学(TCU、千葉県印西市)で

設立30年の歴史を誇るサークル「わわわクラブ」もゲームの屋台を出し、子どもたちに遊び場を提供した。

その代表者の松井仰さんはクリスチャン・ホーム育ち。子どもの頃に行った教会のキャンプが楽しい思い出として今も心に残っているという。だからこそ、子どもが少なくなっている教会の現状を見て、「教会で待っているだけではなく、外に出ていって伝道しなければ」と感じていた。

「わわわクラブ」は毎週土曜日、近隣の公園で子どもたちと、ゲームや賛美、聖書の紙芝居をしている。その活動は地域の人にも浸透しており、親が子ども時代、「わわわクラブ」で育ち、その子どももプログラムに参加させているという人もいた。

一方、宗教アレルギーを実感することもある。「ゲームに参加するのはいいけど、お話は聞いちゃダメ」と子どもに注意する親も見かけるといい、寂しさを感じている。しかし、「力いっぱい自分たちが遊ぶことで、子どもたちの笑顔に出会えることが何よりの楽しみ」と笑顔で話してくれた。

梶山直樹さん=8日、東京基督教大学(TCU、千葉県印西市)で

午後からステージでは、ナイトdeライトの野外ライブの間に、梶山直樹さん(ニュータウン・カルバリー・フェローシップ牧師)がバイブル・メッセージを語った。

「私はクリスチャン・ホームに生まれ、教会で育ちました。二人の弟とごく普通の家庭で幼少期を過ごし、両親と一緒に毎週、教会へ行っていました。しかし、小学生の頃から少年野球に打ち込み、高学年になると野球のほうが面白くなって、だんだん教会からは離れていってしまったのです。

その前後から、私の母は心の病にかかり、入退院を繰り返すようになりました。そして、私が中学1年になったばかりの6月、突然、母が37歳で天に召されました。教会の窓から飛び降りた自死です。

そのことをきっかけに、私は暴走族に入り、神にも人にも反抗する生活を続けるようになりました。しかし、父や伯母をはじめ、多くの涙と祈りのうちに、やがて神の愛を知り、人生が変わり、神に仕える牧師となったのです。

世の中には、思いもかけないことが起こります。それは、私たちがアブラハムのように祝福の基(もとい)として遣(つか)わされるためです。

これからの時代、出ていって福音を伝えてほしい。特に、戦時中、侵略したアジアの国々に福音をもって仕えてほしいと思います」

ナイトdeライト=8日、東京基督教大学(TCU、千葉県印西市)で

北海道を中心に活動をするナイトdeライトは、地震で被災した中での参加だったが、力いっぱいのパフォーマンスを見せた。多くのファンも彼らを見ようと駆けつけ、野外ライブは大いに盛り上がった。

実行委員長の本間さんは言う。

「今年のシオン祭もいろいろなことがありました。台風の予報もあり、直前まで開催が危ぶまれましたが、このように開催でき、本当に感謝しています。

TCUの良いところは、みんなが神様の愛を知っていること。高齢者や障がいのある人、また子どもたちと接する時にも、その愛を知っているのと知らないのとでは大きな差があるのではないでしょうか。私たちは地域に対して、これからも神様の証しとして働いていきたいと思います」

守田 早生里

守田 早生里

日本ナザレン教団会員。社会問題をキリスト教の観点から取材。フリーライター歴10年。趣味はライフストーリーを聞くこと、食べること、読書、ドライブ。

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