J・ゴールディンゲイ 著/本多峰子 訳 神の物語としての聖書(田中光)【本のひろば.com】

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評者: 田中光

旧約聖書がわかると、福音がもっとわかる!
〈評者〉田中 光


神の物語としての聖書
J・ゴールディンゲイ著
本多峰子訳

四六判・228頁・定価2640円・教文館

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正直に白状すると、J・ゴールディンゲイについて、私には以前勝手な思い込みがあった。彼がフラー神学校という福音派の神学校で教鞭を執っているということは前々から知っていたので、いわゆる「福音派」の神学的理解を、旧約聖書学を通して主張する人物だろうというレッテルを貼っていたのである。
ところが、ゴールディンゲイの様々な著作物を実際に読んでみると、彼の旧約聖書の読み方は、旧約聖書を無理やり「キリスト教化」するような読み方とは著しく異なり、旧約聖書の内容をできるだけ客観的で学問的に語るものであることがたちどころに明らかとなる(私が授業のために最近参照するようになった彼の詩編注解などはその一例である)。一方では、彼は英国国教会の司祭でもあり、旧約聖書学を明確に教会に仕える学問として位置付けることも忘れない。彼のフラー時代の同僚で、新約学者のJ・グリーンもこの両面を指摘して、ゴールディンゲイの学問的スタイルが高度に学問的でありながら、同時に福音を旧約聖書から躊躇なく宣言するものであると評している(フラー神学校が運営するYouTubeチャンネル“Fuller Studio”でのゴールディンゲイの紹介動画参照)。

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