老いへの対策と老いの効用、恵みを知ろう
〈評者〉疋田勝子
老いと祝福
石丸昌彦著
四六版・216頁・定価2420円・日本基督教団出版局
私は現在八〇歳近くで、内科と整形外科に通いながら十種類の薬を服用し杖をついての生活をしています。年とともに、先々を考えると不安なことがいろいろ出てきます。そんな私が精神科医師の石丸昌彦先生の著書『老いと祝福』に出会いました。これは、私がこの世での人生を閉じる前の神さまからのプレゼントだと思いました。著者が深い信仰と豊富な知識をもって、「老い」は「恵み」だと、こころに響くかたちで教えてくれているからです。
本の「はじめに」の部分で、柏木哲夫先生の著書『「老い」はちっともこわくない─笑顔で生きるための妙薬』が紹介され、石丸先生は「考え方と工夫次第で老いは『それほどこわくない』、あるいは『案外悪くない』かもしれません」(五頁)と述べています。私はこの本を読んで、むしろ「老い」をこわく思ってもよいのだと安心しました。「老い」はなぜこわいのか、その原因を突き止め、その対策をみんなで解決していく方法を示しているからです。