今こそ主、求めよ
〈評者〉嶋田順好
なぜ君は笑顔でいられたの?
福本峻平 神と人とに愛されたその生涯
「福本峻平の本」制作委員会 編
四六判・244頁・定価1760円・いのちのことば社
本書には先天性大脳白質形成不全症という稀少難病に十五歳でかかり、奇しくもイエス・キリストとほぼ同年齢の三十三歳で、御許に召された福本峻平さんの神と人とに愛され、神と人とを愛した生涯が綴られている。
読了した後に、峻平さんの人生が、序章のエピグラフに用いられていた彼自身の暗唱聖句「いつも喜んでいなさい」で始まるテサロニケの信徒への手紙一五章十六節~十八節の御言葉そのものであった事実に胸を打たれる。同時にヘブライ人への手紙十一章四節「“峻平”は死にましたが、信仰によってまだ語っています」ということを痛切に思う。彼の語りは、必ずや彼と出会ったすべて者たちが、各々の地上の生涯を終えるまで、生き生きと聞き続けられるに違いない。
不思議に思うことは、小学校までは「ヴァイオリン好き」「鉄道ファン」「漢字博士」「理屈や」「負けず嫌い」の少々気難しげな少年が、聖学院中学校に入学し、礼拝レポートの課題のために常盤台バプテスト教会の教会学校に出席してからは、驚くほど自然に教会になじみ、神の愛のなかで自分を愛し、隣人を愛する者へと変えられていったことである。彼の生涯を思い巡らすと、まさに「君は愛されるために生まれた 君の生涯は愛に満ちている」ということをアーメンと唱えずにはいられなくなる。…(続く)
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