Q.牧師として新しいことを始めたいのですが、教会の役員会で許可してもらえません。何か良い方法がありますか。(30代・牧師)
牧師が何か新しいことを始めたいと書かれていますが、具体的内容については何も書かれていません。そこで、一般論としてのお答えになると思いますので、この点について前もってご了承ください。
牧師さんと役員会との間で意見が対立した場合、次の点について、双方で再確認する作業が必要でしょう。
(1)はじめに、新しい計画が教会の設立理念と基本方針に沿ったものかどうかということを原点に戻って見直すべきでしょう。
(2)教会の形態が招聘制か任命制かによって、新しい計画を執行した結果生じた責任を、誰がどのような形でとるかということが異なってくると思います。この点を明確にしておくべきでしょう。
(3)牧師と役員会との会議によって意志決定してゆくプロセスを透明化する共に、その基盤となる教会規約がきちんとしているかどうか、議事録が保存されているかどうかチェックする必要があります。
(4)双方で新しい計画を実行する際に必要な知識、情報を共有しているか、経済力やマンパワーは十分あるかなどといったことも、よく協議するべきです。
(5)牧師や役員の中に、性格的にあまりに〝個性的〟あるいは閉鎖的、自己中心的な方がおられると、周囲の人々がその人にひっかき回され、まとまる話もまとまらなくなる例が少なくありません。教会共同体が、円滑に運営されていくためには、協調性や柔軟性、チームワークが必要です。あまりに突出した言行が目立つ人がいる場合は、専門家と相談するとよいでしょう。
(6)以上の点を吟味してなお、対立が解けない場合は、新しい計画の妥当性について第三者的立場から客観的に見られる評価機関を設定ないし依頼、そこの判断を仰ぐということも一つの方法だと思います。
ひらやま・まさみ 1938年、東京生まれ。横浜市立大学医学部卒業。東洋英和女学院大学教員を経て、聖学院大学子ども心理学科、同大大学院教授、医療法人財団シロアム会北千住旭クリニック理事長・院長、NPO法人「グリーフ・ケア サポート・プラザ」(自死遺族支援)特別顧問を歴任。精神保健指定医。著書に『精神科医からみた聖書の人間像』(教文館)、共著に『イノチを支える-癒しと救いを求めて』(キリスト新聞社)など。2013年、75歳で逝去。