Q.私が教会に通うことを親が反対しています。どのように説得すればよいでしょうか?(20代・女性)
親から反対されている理由はいろいろあると思います。キリスト教に何らかの偏見があったり、宗教に深入りすることを心配しているとか、家族や親戚づきあいが疎遠になってしまうのではないかとか(特にお墓の問題もあるかもしれません)、あなたが独身であれば結婚に不利になるのではないかとか、因習の古い町村や農家などでは地域とのつながりを気にして反対されることもあります。
結論から言って、親は親、私は私、反対されても貫き通すこともできるかもしれません(信教の自由は憲法で保障されているのですから)。しかしそれは辛いことでもあり、親との深いしこりを残すことにもなりかねません。
私はカルト問題にかかわり、信仰と家族関係の課題にいつも取り組んでいます。この質問は教会へ通うことを反対されているがどうすればよいか、というものです。私が取り組んでいる課題と共通項もあります。それは、親側の立場では、家族の絆が疎遠になり、親から子どもを引き離そうとしているという危機感です。カルトの場合は、それに特有な問題が付け加わって、さらに戦々恐々としたものになります。
共通項にもう少し説明を加えますと、親から子どもが離れてゆくことに寂しさを感じ、自分自身(親)の心も不安になるのです。「親の子離れできない感情」という課題が反対する背後にあって、キリスト教への偏見ある発言や宗教に深入りするな、などの発言になるのです。
では、どのようにすればよいか、ということです。先に「親の子離れできない感情」の課題と申し上げました。そのためには、家族と共に過ごす時を大切にするということです。そうすることによって、親の心配はやわらいでいくことでしょう。それがキリストの証しともなるのです。聖書も次のように言っています。「自分自身の内に塩を持ちなさい。そして、互いに平和に過ごしなさい」(マルコによる福音書9章50節)。
ひらおか・まさゆき 1950年、福岡県生まれ。日本ルーテル神学大学神学部(現ルーテル学院大学)、日本ルーテル神学校卒業。83年より日本福音ルーテル教会牧師。85年から統一協会、94年にはオウム真理教信者の脱会支援に着手するなど、長くカルト問題に取り組み、カウンセリング活動を続けた。共著書に『マインドコントロールからの解放』(三一書房)、『啓示と宗教』(サンパウロ)など。2009年、58歳で逝去。