あなたの重荷を主に委ねよ、主はあなたを支えてくださる。
詩編55編23節(参考個所詩編55編1〜24節)
作者はおそらく町で生活をしていたのです。けれども町は不法と争い事で明け暮れ、世は災いと労苦ばかり、人間には搾取と詐欺が蔓延しています(10〜12節)。もはや人里離れて遠く荒れ野に逃げて行きたい気持ちになっています(8節)。
しかし、それでは物事は本質的に解決しないと知っています。かといって、人間の言葉ではどうにもならないのです。人間の言葉は巧みに語られると、なるほどとうなずくこともあります。とは言え、理屈と膏薬(こうやく)はどこにでも付くように、欺瞞性(ぎまんせい)をもつ人間の言葉に頼ると後で痛い目に会うこともあるのです(22節)。
究極の解決は、主なるお方に委ねることであるとこの作者は確信します。だから言うのです。「あなたの重荷を主に委ねよ、主はあなたを支えてくださる」と。人には、進むもならず引くもならずといったことも、決して希(まれ)なことではありません。もし委ねるものが、ないなら、その事態をどのように切り開くことができるでしょうか。他者を破壊するか、自己を破壊するか、正気を失うかのどれかを選択せざるを得なくなるでしょう。委ねるものを持つ者は、なお前に向かって進む勇気を持つことができます。