角笛が鳴り渡ると、民は鬨の声をあげた。民が角笛の音を聞いて、一斉に鬨の声をあげると、城壁が崩れ落ち、民はそれぞれ、その場から町に突入し、この町を占領した。
ヨシュア記6章20節(参考箇所同書6章1〜27節)
ヨシュアに導かれた民は、カナンの地に入り、最初の町エリコを戦い取らねばなりませんでした。彼らが町の回りを七周し、角笛を吹き、鬨(とき)の声を上げると町の城壁が崩れ落ち、中に入った兵たちは、町中の人間や牛、羊、ろばに至るまで殺戮(さつりく)したと伝えられています。この出来事はなんとも説明に苦しむところです。彼らはモーセの十戒によれば、殺すことなく、むさぼることも禁じられていたはずです。エリコの悲惨をどのように正当化できるでしょうか。あらためて人間の犯す罪を思い起こさせます。
聖書は人間の罪の現実を余すことなく白日の下に曝(さら)すという点では、ごまかしたり、あいまいにすることはないのです。聖書にはロトの娘たち(創世記19章33節)、ユダとタマル(創世記38章15節)、ダビデの罪(サムエル下11章4節)など眉をひそめるような話は枚挙にいとまがないほどです。聖書はこれら人間の罪を赤裸々に書き記して神の前に置くのです。人は罪を犯すこととそれに責任があることを表明しているのです。
エリコの戦いもまた、人間の罪のさまをあますことなく書き記したものです。聖書はそれを神の前に置いて、人は罪を犯すことを直視しているのです。