5月4日 出エジプト記12章27節

 「・・・主がエジプト人を撃たれたとき、エジプトにいたイスラエルの人々の家を過ぎ越し、我々の家を救われたのである」と。
出エジプト記12章27節(参考箇所同書12章1〜51節)

エジプト王ファラオは奴隷であるイスラエルの民を解放して自由を与えることをよしとしませんでした。神はさまざまな災いを下し、ファラオの心を変えようとされましたが、ますます頑(かたく)なになる王に神は遂に最後の災いを下されます。エジプト中の人もあらゆる生き物も初子は撃たれて死ぬとの災いの託宣を下されます。ただしイスラエルの民は、家の入り口に子羊の血を塗ることによって死が過ぎ越し、救われることとなったのです。民たちはこの出来事を記念して三千年以上にわたって主の過越の祭として守ってきたことはよく知られています。

過越の出来事は、新約においては罪の奴隷となっていた人間を救い主イエスが自ら子羊となって、罪からの解放してくださる贖(あがな)いの出来事に引き継がれることになります。救い主の十字架の死の前夜、主は弟子たちと最後の晩餐を共にされましたが、その食事は過越の祭の食事でした。その食卓には子羊の肉はなく、主御自身が子羊でありました。だから主はパンを取って、「これはわたしの体」、ぶどう酒をもって「これはわたしの血」と言われるのです(マタイ福音書26章26節以下)。

賀来 周一

賀来 周一

1931年、福岡県生まれ。鹿児島大学、立教大学大学院、日本ルーテル神学校、米国トリニティー・ルーテル神学校卒業。日本福音ルーテル教会牧師として、京都賀茂川、東京、札幌、武蔵野教会を牧会。その後、ルーテル学院大学教授を経て、現在、キリスト教カウンセリングセンター理事長。

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